一年を通してのまとめ by Kurumi
1. ここまで
秋学期のゼミで面白かったことは、1つの文献を選んでレジュメを作成し、発表し合ったことである。一つの文献を読み込み、要約だけではない、文献に対しての応答をすることで、自身が今後調べてみたいことや疑問点、卒論で参考にしたい点を見つけることができたのでとても良い機会だった。また、ゼミ生の興味関心のあるテーマを知ることができ、発表の仕方もそれぞれで聞いていて楽しかった。発表を聞いて、興味が湧いたテーマもあった。私は、映像作品に一番関心があったため、それを研究対象にしている論文を選んだが、化粧品広告やスポーツメディアに関する発表を聞いて面白いと感じた。卒論に向けて自分の視野を広げることができたと感じる。
実際に発表をしてみて、15分の中で、いかに要点をまとめて相手にわかりやすく伝えるかが難しかった。内容を詰め込みすぎてしまったので、重要な章だけに絞ればよかったこと、もう少しわかりやすく発表できたのではないかなど、反省点はたくさんあるので改善していきたい。
メディア×英語×CDSめぐって、自分の興味や理解は変わったと感じる。これまではメディアそのものに興味があったが、今はメディアが発信する言葉に興味を持つようになり、理解も深まった。また、英語学とゼミを通して、普段観る日本のドラマや映画、アニメに英語字幕を付け、翻訳の違いをみたり、電車に貼られている広告に目を向けてみたりするなど、意識的に言葉に目を向ける機会が増えたと感じている。今後はメディア×英語の理解をもう少し深めていけたらと思う。
2. これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、あらゆる角度からその言葉の本当に伝えたいことや背景を探るものである。前期の「女性は英語で踊る」では、渡辺直美のメイク動画やラジオ分析、ゼミではお菓子の商品名から、伝えたいことや背景など、言葉を深く考察した。後期の「食は英語で踊る」では、「ヘルシーな」や「スイートな」などのカタカナ語や、ヴィーガンという食のあり方、メディアの長所と短所を考え、学んだが、それを通していかにメディアの言葉に、私たちはいい意味でも悪い意味でも躍らせられているかを理解した。SNSやYouTubeなど、メディアが多様化し、情報が飛び交う社会で生きている私たちにとって、正しく情報を受け取るための学びとなる研究分野でもあるとも考える。
論文紹介のレジュメの発表では、私は関口秋香さんの「役割語の日英対照―ディズニー映画とジブリ映画における「女性語」を中心にー」を選び、役割語についての見解を深めた。ディズニー映画とジブリ映画という自分にとって身近で好きな作品を比較対象としていたため、楽しみながら文献を読み、レジュメを作成することができた。卒論では、自分が好きなアニメ漫画作品に出てくる女性キャラクターの台詞を日英で比較し、どのような女性像が反映されているのかを見ていきたいと考えている。しかし、後期のゼミ活動をと通して広告の日英比較にも興味が湧いたため、以下に挙げた、今後読もうと考えている文献を読み、検討していきたい。あまりテーマを絞りすぎず、広い視野で論文を探していこうと考えている。
・参考文献(今後読みたい文献)
① 藤田由美子.「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析 ステレオタイプ的な描写の検討を中心に」 『子ども社会研究』2巻,1996,p.33-46.
〈https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschildstudy/2/0/2_33/_article/-char/ja/〉
子供向けテレビ・アニメ番組に現れた女性像、男性像の分析を行っている。
② イーヴァソン房江 「漫画『SPY×FAMILY』におけるキャラクター言語の日英翻訳―アーニャとヨルの言葉遣いとキャラクターを考える」『日本通訳翻訳学会』23 号2021,p.1-21
〈https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/article/112023003409〉
漫画作品『SPY×FAMILY』の主要人物2人の特徴的な言語表現を役割語・キャラクター言語の観点から見つつ、英語版ではそれがどう対応しているかについて考察している。漫画作品を分析対象としていること、女の子・女性キャラクターの台詞を主に見ているなど、自分が卒論で書きたいことに近い。
③ 因京子『翻訳マンガにおける女性登場人物の言葉遣い:女性ジェンダー表示形式を中心に』 日本語とジェンダー,7号,2007,p6-18
〈https://jrckicn.repo.nii.ac.jp/records/425〉
翻訳マンガ女性たちがどのような言葉遣いをしているか、ジェンダー観にどのような効果を上げているかを考察している。3章の「分析の視点」を参考にする。
④ 北林利治『英語における性とことばー「丁寧さ」 と女性ことばを中心にー』京都橘女子大学女性歴史文化研究所 号7, 1999.3,p. 29-44
〈https://tachibana.repo.nii.ac.jp/records/323〉
言語学者レイコフの「言語における性差表現は、それを使用する人の認識とどのようなかかわりあいがあるのか」という問題を考察している。 1章を特にみる。
⑤ 宮下美砂子「現代日本のライフスタイルとジェンダー:「炎上」 時代の広告から考える」『千葉大学人文公共学研究論集』40号,2020,p. 93-111.
〈https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/107964/〉
CM広告がいかに日本社会のライフスタイルやジェンダー観を創り出しているのか考察している。 広告分析にも興味があるため、読もうと思う。
3. なんちゃって卒レポ
Title(題名): 漫画『呪術廻戦』における日英翻訳研究―女性キャラクターの台詞を中心にー
Introduction(問題意識) : 言葉は「女性らしさ」を無意識に押し付けられているのではないか。日英比較をした上で、言葉が読者にもたらす影響力を明確にする。
Literature Review (先行研究):
イーヴァソン房江 「漫画『SPY×FAMILY』におけるキャラクター言語の日英翻訳―アーニャとヨルの言葉遣いとキャラクターを考える」『日本通訳翻訳学会』23号,
2021, p.1-21
〈https://honyakukenkyu.sakura.ne.jp/shotai_vol23/No_23_001-Ivarsson.pdf〉
Methodology (分析方法):女性キャラクター数名の台詞を抽出し、話し方の特徴を分析したうえで、英語版ではどのように翻訳されているかみる。
Data Analysis(データ分析):自立した強い女性が反映されている。
Conclusion(結論):言葉がいかに社会に影響を与え、現代の女性像を反映させているかがわかった。
1800字数(参考文献除く)
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