ファイナルレポート by Megumi
1. ここまで
秋学期のゼミで面白かったことは、ゼミメンバーそれぞれが選んだ文献について、レジュメを作成し、発表を行ったことである。まず、自分が発表するにあたって文献を探すところから始まった。なかなか自分の興味のある文献が見つからずに苦労したが、自分の興味があるものに近いアニメ作品である『千と千尋の神隠し』の翻訳に関する文献を見つけることができた。文献を読み進めていくと、文化的背景や宗教的背景の違いから、英語圏の人にとって日本文化などの内容を理解しづらい部分を補足するために自然と台詞が多くなることがわかった。また、暗黙の了解や曖昧さを好む日本人と明示的や明確さを好むアメリカ人という正反対の特徴が日本語版と英語版を比較することでよく分かり、とても面白いと感じた。
ゼミメンバーの発表では、広告や化粧品、ディズニー、スポーツなどみんな全く違う分野の発表を行なっていたため、自分の知らなかった日米の化粧品広告の特徴やディズニープリンセスの特徴などを知ることができた。それだけではなく、レジュメのスタイルも人それぞれで違っていて、とても参考になったので次回に活かしていきたいと考える。
メディア×英語×CDSをめぐって、前期ではメディアの中でも私は特に自分が使用していたり、見たりすることが多い、テレビやSNSに興味を持っていた。しかし、後期では自分がもともと好きなものである漫画やアニメを研究対象とした日英比較へと興味が変わっていった。このように興味が変わっていったのは、当初はメディアと言えばテレビやSNSといった固定観念を持っていたことが原因であると考えられる。
2. これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、ただ日常生活で見たり聞いたりするだけでは理解に至らない部分まで追求し、伝えたいものを受け取って理解することだと考える。ゼミだけではなく、英語学演習の授業を通しても1年間でYouTubeやラジオなどさまざまな媒体を研究対象として批判的談話研究を行なった。子を持つ母親が登場しているものを見ることが多かったが、日本とアメリカでは子育てに関する価値観が異なることが母親の発言の語尾などから読み取ることができた。普通に聞いていると気にならないかも知れないが、話の中で何度も使われる言葉などに注目して聞くと、その人物の特徴や言葉には出していないが、心に秘めている思いなどを読み取ることができる。このように、日常生活では気に留めない部分に注目することで相手のことを理解することができるところが批判的談話研究の特徴であり、良い部分であると考える。
今後進めていく卒業論文では、「アニメや漫画を題材とした字幕や翻訳の日英比較」を行いたいと私は考える。その中でも、私が好きな作品であり、日本だけでなく海外でも人気のある『進撃の巨人』を研究対象にしたいと思う。『進撃の巨人』は漫画だけでなく、アニメや映画などいくつかのジャンルで展開されている。そのため、さまざまな角度から調査することができる。また、『千と千尋の神隠し』の文献では「海外ではアニメ作品を通して、日本文化がどのように受け入れられるか」というのが著者の興味であったため、日本的な内容の『千と千尋の神隠し』が相応しかった。
それに対して、『進撃の巨人』は日本的な要素もアメリカ的な要素もあまり含まれていないオリジナルのフィクション作品である。そのため、読者や観客の文化的背景にとらわれることなく、翻訳や字幕の日英比較を純粋な本質の部分だけで行えるのではないかと考える。さらに、同じシーンであっても、アニメと漫画ではセリフが異なっているのか、異なっている場合にはなぜ異なっているのかを追求していきたいと思う。また、作中セリフの中でも特に有名な「駆逐してやる」は英語版でも流行したのか、このセリフよりも英語版で流行ったものはあるのかについても興味があるので研究してみたいと考える。
① 多賀亜紀 『英語吹き替え版映画を使用して行う日本語・英語比較授業:『魔女の宅急便』実践報告』 (映画英語教育研究) 2002, 7巻p17-38.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/atem/7/0/7_KJ00007911574/_pdf
原作を知っている場合、英語版吹き替えで英語がわからなくても「相対音感」を利用して学生はリスニングするようになる。また、自分で翻訳した英語と吹き替え版の英語を比較することで日本語文化と英語圏文化の慣習等の違いに学生が気づくことができる。日英版の相違について扱っているので自分のやりたい研究と似ている。
② 柏木厚子『映画・テレビドラマにみる日米謝罪表現の差異—オリジナル言語版および吹き替え板の分析から--』(學苑)2015, No.893(11)〜(25) https://swu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=5899&item_no=1&attribute_id=21&file_no=1
日本語と英語では謝罪定型表現の機能が異なる場合があり、特に日本語では感謝表現に謝罪表現が使われることが多い。自分と同等や目下の人と話す際は、日本語だと謝罪表現をあまり使わない。
③ 塚本美恵子 『アメリカの小学生は日本語版アニメをどう視聴したのか:注視度と質問紙調査の回答から(文化情報学:駿河台大学文化情報学部紀要)2010, 第17巻2号
https://surugadai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=886&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1
日本語を勉強しているA校では日本語版と英語版で最も注目度が高かったシーンと印象に残ったシーンは一部で一致した。一方で、B校とC校ではそれが一致しなかった。さらには、B校とC校では最も注目度が低いシーンが最も印象に残るシーンとして挙げられる逆転現象が生じた。その原因は音楽ではないかと推測される。
④ 山田健太郎 『英語版アニメ作品に見る翻訳の問題2:『となりのトトロ』の場合』2005, http://reposit.sun.ac.jp/dspace/bitstream/10561/311/1/v6p273_yamada.pdf
日本人がよく使用される沈黙のコミュニケーションの場面は、英語版では挨拶や明示的に情報を伝える言葉が加えられている。観客の文化的背景や価値観に合わせて、日本文化などの理解し難い部分はより分かりやすい形になるように訳される。
⑤ 安井寿枝『アニメキャラクターからみる翻訳についての–考察:英語版『千と千尋の神隠し』をケーススタディとして』(関西外国語大学紀要論文)2021, 巻114, p39-58 https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/record/8023/files/r114_03.pdf
日本版においての要求表現は英語版の場合ほとんど命令形が使用されている。日本版では名前を呼ぶだけで意思表示することが可能としているが、英語版では名前を読んだ目的など全て明確的に言葉にしている。
3. なんちゃって卒レポ
Title(題名)
『進撃の巨人』の日英比較から見るヒットの理由とセリフ表現の違い
Introduction(問題意識)
『進撃の巨人』はどうして日米の両方で人気なのか。原作と英語版ではどのような相違点があるのか。どのような経緯で相違点が生まれたのか。
Literature Review(先行研究)
山田健太郎 “英語版アニメ作品に見る翻訳の問題:『千と千尋の神隠し』の場合”(2004)
Methodology(分析方法)
原作漫画と英語版漫画や日本語版アニメと英語版アニメのセリフや字幕を比較する。
Data Analysis(データ分析)
比較をして分かった結果から、人気の理由やどうして異なるセリフとなったのか分析する。
Conclusion(結論)
『進撃の巨人』が世界中で人気となったのには◯◯という理由があった。また、日英比較を行なった結果、それぞれ◯◯のような特徴がみられた。
(1930字)
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