批判的談話研究への探求心の高まり by Yukino

1. はじめに

なぜ太田ゼミを選んだのか。

私が太田ゼミを選んだ理由は、批判的談話分析についてさらに追求してみたい思ったからだ。去年、私は太田先生の英語学基礎演習という授業を受けた。講義内容は、洋楽から社会問題を考えるものであった。私はその時に歌詞という言葉のメッセージから、当時の社会問題や歌手が歩んできた人生、その歌手を取り巻いてきた社会環境を分析した。このとき始めて、言葉から分析するという体験をした。これは、洋楽を普段から聞き流し、歌詞など気にせず聞いていた私にとっては、洋楽を新たな視点で見るきっかけとなった。またそれに加え、言葉から様々なことを分析していく面白さを知ることが出来た。このような経験をし、太田先生がゼミでは批判的談話分析をさらに深めて学んでいくとおっしゃっていたので、太田ゼミに興味を惹かれ、選んだ。また、その他にもメディアという普段生活する中で一番多く関わっているものを批判的に分析していくということにも興味を強く惹かれた。

2. ゼミで面白かったこと、初めて知ったこと

 ゼミで面白かったことは、色んな人の考えや意見に触れられたことである。ゼミでは、クラスの皆と話し合い、意見交換をする機会が多かった。そのため、色んな視点から物事を考えようと意識することが多くなった。また、特に面白いと感じたのは、「プリッツ」のCMについて分析したときである。それぞれのグループに分かれて分析をしたが、着眼点も改善点も全く異なり、同じCMでも人それぞれ抱く印象は違うことが面白いと感じた。自分とは全く違う視点から物事を見ている他の人の意見や考えに触れることで、自分の狭まった視野を広くし、考えに柔軟性を持たせることが出来た。

私は普段、CMを注意深く見たことはない。しかし、CMを「なぜその人を出演させたのか」「なぜその衣装を着ているのか」「なぜ背景にはその色を使っているのか」など、情報を素直に受け取るのではなく、批判的な視点から見た。日常生活の中で、メディアや言葉に対し、批判的に見ることはない。しかし、批判的に見ることで、言葉がどのような方法で伝わり、どのように社会で使われていて、私たちにどのような影響が与えられいるのかなど深いところまで考えることが出来ることを知った。

また、CMだけでなく、お菓子のパッケージの分析も面白かった。お菓子のパッケージの分析は、自分が普段から食べていて興味のあるものだからこそ、楽しく出来たと思っている。ゼミの皆が書いたものも見たが、歴史、パッケージ、キャッチコピー、CMなど人によってアプローチの仕方が違い、分析していく過程も私とは全く異なるので、参考になるものばかりだった。実際にブログに掲載されてみて、自分と他の人のレポートを比較してみると、惹かれるタイトルのつけ方や、見やすくて分かりやすい文章の大切さというのも改めて感じた。

ゼミと関連した講義で、英語学演習の「女性は英語で踊る」でも様々な形で談話分析をした。私はその中でも、子育ての悩みをラジオで発信された言葉から談話分析したときが面白いと感じた。会話しているときの「話し言葉」だけが、その人の感情や考えが表れやすいと思っていた。しかし、ラジオはリスナーが書いた手紙がパーソナリティによって読まれるため、「書きことば」から談話分析を行った。その際、私は、書いているとそこまで感情が含まれなさそうだと思っていたが、実際は無意識のうちに不満や悲しさ、悩みといった様々な感情が言葉に含まれていた。ラジオ宛ての手紙だから感情を素直に表したりはしていなかったが、特定の言葉の使用頻度、変わった表現の使い方などを細かく見ながら、談話分析をしていく過程が面白く、興味深かった。

3. これから

 現時点で、私にとって批判的談話研究とは、当たり前に捉えていた物事を批判的な視点から見ることで、どんな影響を受けていて、どのようにイメージが操作されていたのかなど見方を変えるきっかけになるものだと考えている。しかし、まだ批判的談話研究については不明瞭なことが多い。そのため、これからもゼミや英語学演習で批判的談話研究に触れ、追求をし、理解を深めていきたいと思っている。そして、後期が終了する頃には、現状の批判的談話研究に対する浅い理解から、少しでも理解を深めていけるようにこれからも積極的に学んでいきたい。そして、私がこれから考えていきたいと思っているのは、「美意識」に関することである。できれば、海外コスメと日本コスメの広告のキャッチコピーの違いがあれば分析をし、なぜここまで海外と日本で外見に対する意識の違いが生まれているのか、SNSの影響なのか、「美」に関してどのようにメディアは言葉や映像で伝えているのかなどを考えていきたいと思っている。

(1951字)

4. 参考文献

以下の5つの文献は私がこれから読んでみたいと思っているものである。

① 山田雅子 “外見の美しさと内面の美しさ―外見/内面の重視と美しさの捉え方の特徴-”

埼玉女子短期大学研究紀要 第30号 (2014.08)

日本の若い女性にとっての外見の美しさ、内面の美しさとは具体的にはどのようなことを指し、捉えられているのかをアンケートを取り、データから分析しているものである。

②久保友香 “「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識” 太田出版 (2019/4/18) 

 最近では、顔を加工する「盛り」がインターネットの中では当たり前の存在になっている。しかし、この顔を加工するというSNSから生まれた文化はどのようにして始まり、世界にも広がっていったのかが綴られているものである。

③ 木戸 彩恵 ”日米での日本人女子大学生の化粧行為の形成と変容 文化の影響の視点から”  質的心理学研究 第10号 (2011) 79-96

日本人の女子学生とアメリカに留学し、長期滞在した日本の女子学生の化粧行為の捉えた方は違う。日本とアメリカの価値観やコミュニティの違いなど、異なる文化に触れて移行したことにより、化粧行為も変容していることを研究したものである。

④ 新美 亮輔 山田 真也 “顔の魅力が服の魅力評価に与える影響とその性差” 心理学研究 (2020年) 第91巻 第2号 pp. 94-104 

服が魅力的に見える判断には、顔の魅力が深く関係しているのか、また、それは男女で違いがあるのかという内容の論文である。

⑤ 谷本 奈穂  “美容整形というコミュニケーション:外見に関わり合う女性同士” フォーラム現代社会学 (2017年) 16 巻 p. 3-14 

外見について、美容整形を希望又は実践した人たちが特に誰に見られることを重視しているのか、またそのきっかけとなったものは何気ない日常生活の会話の中で行われている会話であるのかというのを分析し、まとめたものである。

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