自分の興味を育てる by Momoka
1. ここまで
大学3年生から太田ゼミに所属し、様々なワークを通して批判的談話研究について触れ、学んだ。春学期では、ゼミ生の考え方がとても豊かなことについて、人の数だけ考え方や感じ方が異なることは本当に面白いことだと考えていた。それは、秋学期になっても変わらず、むしろさらに刺激を受けた。文献報告では、文献の選び方から個性やそれぞれの興味が全く異なり、様々な視点があることに驚いた。ゼミ生の発表は、文献のまとめはもちろん、発表の仕方や、レジュメの作り方までも個性が出ていて、とても面白いと感じた。特に面白いと感じたゼミ生の発表報告は、映画ポスターのキャッチフレーズの日中比較についてのものである。ポスター制作側の様々な方向への配慮が、原作の良さを壊してしまうことがあるということを初めて知った。自分の中に、日本と外国の違いについて着目したことがなかったため、自分にとってとても刺激的だった。海外が原作である作品のポスターに映っていたものが、当時の日本で起きた歴史的出来事が及ぼした影響への配慮によって削除されたり、宣伝のために印字された文字の影響で原作の雰囲気が損なわれてしまったり、空間の使い方や、ポスターのサイズにも作品を作るうえでのこだわりで、メッセージが込められていたかもしれない。そういったことを考慮すると、日本のポスター制作においての原作への敬意が欠如しているのではないかと考えることがある。自分の文献報告では、好きなことに関する文献と向き合うことは、自分にとってあまり向いていないことだと感じた。この気づきは、自分にとってとても大きなものである。好きなことに対して、好きな気持ちがあふれてしまい、客観視することや、説明に必要な背景や情報、非共通の言葉に対する記述が不足してしまう。また、伝えたい情報が多すぎて、まとめることがとても難しいと感じた。レジュメを作成する際にも、「これを報告してもみんなは興味を持つのだろうか」「自己満足になってしまっているのではないか」と思うことが多かった。私は卒業レポートを書くつもりでいる。メディアに関するテーマを基に作成するが、自分の興味と少し距離をとったものに対して興味を深め、自分の研究を進めたいと思う。
金曜3限に開講されている「食は英語で踊る」において紹介されていた映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」では、春学期に開講されていた「女性は英語で踊る」と関連するものだった。作中に映される小道具や、登場人物の動作、状況を自分で見落とさずにおさえ、深く掘っていくことの重要性を感じた。これは、常に自分の研究に関する事柄へのアンテナを持つことで、研究の材料集めにつながると感じた。興味とは、日常に存在していて、当たり前なことだとスルーし、見落とすことに慣れている。私に必要なことは、アンテナを張り続け、自己分析をするように、自分の興味を大切に育てることだと感じた。
2.これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは簡潔に、察する能力の一つのようなものではないかと考える。日々の何気ない生活の中で、私は人とのかかわり方や相手から見た自分のイメージを考える。春学期のレポートでは、「人と会話する際に、私は相手の様子(主に視線、声色、身体の動き)に注目してコミュニケーションをとる」と書いていた。これは今も変わらず続いていることだが、春学期の頃の自分と比べて、今の自分は研究の対象として人とかかわることが増えたと感じている。これは、自分にとっては悪いことではないと考えていて、研究の観点から人とかかわることで、相手が何を求めているのか、相手の深層真理と、発言は噛み合っているのか、噛み合っていなければ、なぜ噛み合わないということが起きるのか、相手のコンディションや、おかれている状況について、深くたどっていけるのではないかと考えるからだ。しかし、私自身が、他人に干渉や詮索をされたくないと感じることが多いように、研究対象にされることを良く思わない人がいる。人との距離を慎重に図り、図り違えて暴走してはならない。様々な性格、情緒、思考があるからこそ人とかかわることは面白く、常に新しい発見がある。私は、人の感情について様々なアプローチを通して考えていきたい。批判的談話研究の分析を通して、人への興味をさらに自分の中に感じたからだ。目に見えないものは、目に見えるものを通して察することができる。これは、私にとって可能性を感じることである。人が何を考えるのかについて興味がある私は、「自分」と「自分以外」というように分類して考えているのだと思う。自分を分析することも続けたいと思う。人について興味がある自分を学生生活ではもちろん、社会人になっても考え続けたいと思う。
(1937字)
これから読んでみたい文献
* 土方 嘉徳,『人の感情を理解し,人に寄り添うAI:2.ソーシャルメディアにおける心理・情動分析の方法論』,情報処理,2023-01-15,
→デジタル化が進む現代では、視覚や聴覚、感情でさえオンラインで共有することができてしまう。出版年が比較的新しいものであることと、私が人の感情について興味があることを踏まえ、ソーシャルメディア上のデータを用いた心理・情動の分析を通して、ソーシャルメディアにおける心理・情動データを取得する方法について理解を深めたい。
*星 祐太「ほか」,『コミュニケーションロボットの発話に向けたテレビ視聴時における人同士の対話分析』,映像情報メディア学会誌,2023
→本文献では、ロボットが人と対話するときの設計指針を獲得するために,テレビ視聴時における人同士の対話を分析している。対話の分析と、分析の活用から人と一緒にテレビを視聴するコミュニケーションロボットをつくるという本文献に興味がある。
*大田 翔貴「ほか」,『怪談に登場する怪異の特徴分析及びメディア間比較』,じんもんこん2022論文集,2022-12-02
→怪談を読むことで感じる奇妙さや怖さの要因を解明するため、怪談に登場する怪異という特徴的なキャラクターに着目した怪異の特徴分析についての文献。分析の仕方について、怪談という異なるジャンルからのアプローチについて興味を持った。
*宇野 毅明,『多様性の解析を用いたニュース記事に対するコメント集合の分析』,じんもんこん2022論文集,2022-12-02
→ニュース記事の内容に対する分析ではなく、コメントにフォーカスして分析をしている本文献の着眼点がとても面白いと感じた。
*髙宮 優実,『自然会話コーパスに見られるほめへの応答』,ことば,2022-12-31
→他者との会話において、自己を肯定的に評価する言語行動は、従来避けるものとされる。会話の分析と、分析対象が私と立場が近い大学生同士であるということに興味を持った。褒められると謙遜する一連の流れについて知りたいと感じた。
3. なんちゃって卒レポ
Title(題名)
会話における否定的評価の分析
Introduction(問題意識)
私たちは、日々のコミュニケーションの中で、初対面の時から様々な局面で相手への価値づけを行い、それに応じて関係が築かれる。ここでは、良い評価ではなく、悪い評価のやりとりが、実際の会話の中で何をきっかけに始まるのかについて調査する。
Literature Review (先行研究)
会話の中での否定的評価とは、「会話の相手と、相手に属する人・モノ・コトに対して価値が低いと価値づけ、それを表現すること」
Methodology(分析方法)
会話を分析する。データの作成、基本情報を示す。
Data Analysis(データ分析)
親しさを確認する質問と、会話の自然さを確認する質問。
Conclusion(結論)
否定的評価の対象には、対人配慮が表れている。
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