学期末レポート 1年目のまとめ by Marino
1. ここまで
後期のゼミで一番メインに行われたことは、それぞれが自分の興味のある論文を見つけ、発表することだった。発表を行うため、論文を探していたが、批判的談話研究と関連する論文を見つけることは難しいと個人的に感じた。しかし、実際に論文を読んで自分の意見をまとめることや、ゼミのメンバーの発表を聴きながら、一見批判的談話研究と関係ないような論文のテーマでも、論文を読んで、それを客観的に自分の視点で分析することで批判的談話研究になり得るということに気付いた。今回の発表では、批判的談話研究と関係ないものでも選択してよかったため、自分の興味・関心や、好きなものに近いトピックの論文を発表している人がほとんどであった。そのため、鋭い切り口でその論文を考察している人が多かった。卒業レポートでは、クラスのみんなの持つ鋭い視点で論じたものを読むことができると思うと楽しみである。
また、前期と後期で自分の考えが大きく変わったことがある。それは、卒表レポートのテーマについてである。前期のうちは、卒論レポートのテーマは、自分の好きな分野の中から決めたいと考えていた。しかし、後期のゼミで様々な論文に触れたことで、自分の興味に直結したものをテーマにするのではなく、もっと身近なものをテーマにレポートを書く方が自分にとって書きやすいのではないかと考えた。
2. これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、身近にあるものをテーマに、その存在を当たり前とせずに分析することだと考える。前期に期末レポートを書いた際には、批判的談話研究について「日常にある言葉や、英語が『なぜ』、『どうして』そのように使われているかを研究するもの」としていたが、この解釈が変わったわけではなく、それに加え、当たり前に使用される言葉や、存在を疑い、その言葉の社会的意味や、裏の意図を汲み取るというものが批判的談話研究であると考えるようになった。
来年度からは、本格的に卒業レポートに取り組んでいくことになるため、自分が本当に書きたいレポートのテーマを見つけるためにも、日常生活においてもアンテナを張り、当たり前を疑うことや、今まで考えて来なかったような領域と触れ合うことで自分なりの批判的談話研究を行っていきたいと考える。そこから発見したテーマで卒業レポートを書きたいと思っている。また、本レポートの最後に、参考文献として現時点で興味を持ち、卒業レポートの基軸となる論文を紹介する。前回のレポートでは、主に自分の興味に近い分野である映画関連の論文をリストアップしてきた。しかし、今回は、視野を広げることで卒業レポートの題材として参考になるものと出会うことを目標に、様々なジャンルの論文をリストアップしていきたいと考えている。
3. なんちゃって卒レポ
現時点での卒業レポートの題材は、会話・手紙の場合に父と母どちらから先に呼びかけるかを日本と英語圏で比較することである。以下、「なんちゃって卒レポ」として簡単にその概要を記したいと思う。
Title(題名)
会話・手紙における両親の呼びかけ方の日英比較
Introduction(問題意識)
日本では、自分の両親を呼び掛ける際に、「お父さん、お母さん」とすることが多い。しかし、ディズニー映画などの英語圏のメディアにおいては、「ママ、パパ」とされ、母親を先に呼ぶことが多いことに気付いた。英語圏と比較した際に、なぜこのような違いがあるのか、また、その理由はあるのかを知りたいと考えた。
Literature Review (先行研究)
特に先行研究は見られなかった。しかし、今後語順に関する比較文化について論じられている論文を見つけていきたいと考えている。
Methodology(分析方法)
まず、日本での両親の一般的な呼びかけ順が現れている映画・CM等のメディアの例を挙げる。次に、英語圏メディアでの例を列挙して現状を提示する。挙げた例を比較することでなぜ違いが表れているのか、またその理由を①文化②言語③その他(もしあれば)の3つの視点から分析する。
Data Analysis(データ分析)
上記と同様。メディアを通してデータを集め、分析を行う。もしイレギュラーな場合があれば、なぜそれは通常の場合と異なっているのかを分析する。
Conclusion(結論)
実際に私の気付きと同じく、日本と英語圏で両親の呼ぶ順番が異なっていたのかを結論付ける。分析結果から判明した理由も改めて軽く触れる。
(1771字)
参考文献
1.柏木厚子. 「映画・テレビドラマにみる日米謝罪表現の差異--オリジナル言語版および吹き替え版の分析から--」 學苑 893 (2015): 11-25.
この論文は、日本語と英語の謝罪表現の違いについて映画とドラマというメディアをデータとして分析しているものである。オリジナル版と字幕、オリジナル版と吹き替えの二つの観点から分析されている。私の書きたい卒業レポートの題材と一番近いものであり、私が想定している分析方法と似ているため、選択した。
2.國澤昌史. 「ディズニー映画 『リトル・マーメイド』 とジブリ映画 『崖の上のポニョ』 におけるジェンダー表象の比較研究」 神奈川大学大学院言語と文化論集 24 (2018): 1-53.
『リトル・マーメイド』、『崖の上のポニョ』2つの映画から時代における男女像の変化を示している論文である。前作のディズニー映画とジブリ作品を経て変化した様子を考察している。この論文を通して、私が生まれる以前のメディアでの男女像を客観的な視点でみることができると考えたためこれを選んだ。
3.島田英子. 「ディズニーのフェミニズム プリンセスの女性学と男性学」 立命館映像学 15 (2022): 93-107.
ディズニープリンセスは、時代の変化によってその時代のプリンセス像を表してきた。フェミニズム的観点はディズニープリンセス像にどのように関わってきたのか、また、今後のプリンセスはどのように変化していくのかを考察している論文。私の卒業レポートで取り上げる予定の題材には、文化的な要素としてフェミニズムの視点も関わってくると考えているため、この論文を読みたいと考えている。
4.竹本江梨. 「異文化理解教育と映像リテラシー-映画のタイトル, 吹き替え, 音楽についての一考察」 名古屋外国語大学外国語学部紀要 51 (2016): 113-131.
異文化理解教育の方法のひとつとしてメディアという立ち位置の映画を用いることの必要性とそのための映像リテラシーについて述べられた論文である。タイトル、吹き替え、劇中音楽の観点から映像の裏の意味を示している。異文化表象の例示として映画は適切なメディアであるということの裏付けになるものだと考えたため、この論文を選んだ。
5.張顔顔. 「日中字幕翻訳における情報量の考察―『アナと雪の女王』 を例に―」 日本語教育方法研究会誌 27.1 (2021): 62-63.
映画『アナと雪の女王(原題:FROZEN)』の字幕から映画内の情報量がどのように増減するのかを分析している。オリジナル版である英語版よりも日本語字幕は情報量が減少していることがわかった。私が後期のレジュメ発表で行ったものと内容が似ているため、この論文を選択した。
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