ゼミのはじまりのおわり by Marino
1. はじめに
私が太田ゼミに入った理由は単純で、メディアについて学びたかったからである。
私たちの生活は多様なメディアに影響されて成り立っている。私は小さいころから海外のアニメを観て育ち、現在の趣味も洋画観賞と、メディアを通した海外文化に触れ続けている。海外文化に進んで触れる習慣がない人でもテレビや、SNSを通して目にする機会が多いのではないかと思う。そんな私たちと密接に関わるメディアについて学ぶことができるこのゼミに所属することによって、自分が置かれている社会を少しでも知るきっかけになるのではないかと考えたため、このゼミを受講した。
2. ゼミで面白かったこと、初めて知ったこと
前期のゼミの授業で特に面白かったのは、お菓子のパッケージに描かれている英語を分析したことだ。理由は2つある。
1つ目は、ゼミで初めて自分で行う分析だったためである。このゼミに入った当初、批判的談話研究とは何か、あまりピンときていなかった。右も左もわからない状態から、徐々にどのようなものかわかるようになってきて、初めて自分で分析する機会だったため、とても印象深い研究だった。また、パッケージの英語を分析するということから、自分が上手く分析できそうなお菓子を探すのに苦労したということ、お菓子を選び、分析し、着眼点をもとに上手くレポートが書けるか不安だったため、書き上げた際には達成感が大きかったことも理由である。
2つ目の理由は、普段の生活に深く関わっているお菓子を分析対象とするということがとても新鮮で楽しかったからだ。お菓子は日常の様々なシーンで私たちの生活に寄り添うものである。私の場合、お菓子を食べる日と食べない日だったら圧倒的に食べる日の方が多い。コンビニや、スーパーには必ずお菓子が売られていて、大学でも同様に、自動販売機や、ラファエラマリアショップでお菓子が販売されている。家に帰っても大抵お菓子があり、お菓子を全く見かけない日は無いと言える。前述したように、そんな日常に密接に関わるお菓子が分析対象となることがとても新鮮であり、不思議でありながらも、とても楽しかった。
私が分析したのは、「PURE POTATO じゃがいも心地」というお菓子で、そのパッケージには、英語が1つしか記載されていなかった。しかし、分析してみるとその1つの英語から多くのことが分かった。それまであまり意識して見ることはなかったパッケージから、様々な想像ができた。
また、ゼミのブログで他のゼミ生が分析したものを読んだり、授業内でそれぞれが分析したものの発表を聴いたりしながら、ひとつひとつのパッケージにそれぞれ異なる意味が込められていて、日常の何気ないものにも意味があると実感した。
以上、二つの理由から私が前期のゼミで面白いと感じたのは、お菓子のパッケージに記載された英語を分析したことである。
3. これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、日常にある言葉や、英語が「なぜ」、「どうして」そのように使われているかを研究するものである。前期のゼミでは、前述したお菓子のパッケージの分析のほかにも、LINEの会話を分析した論文を精読したこともあった。LINEは、日本国内の多くの人が利用するツールで、今や生活必需品とも言うことができるだろう。何気ないLINEの内容の中にも、興味深い傾向があることがわかった。それと同時に、本当に様々なものを対象に分析可能な、批判的談話研究の奥深さを理解した。
このゼミは、日本国内で唯一、批判的談話研究を専門としているゼミである。そんなゼミに所属しているからには、談話分析を積極的に行っていきたいと思う。また、このゼミの入った理由である、メディアについても学びたい。批判的談話研究とは、日常の物事に与えられた意味を再発見する研究でもあると考える。今後のゼミで、自分の生きる世界の意味を分析し、再発見できれば、とても面白いのではないかと思う。例えば、先ほど述べたLINEの談話分析をこのゼミ生のLINEでもやってみると、論文で取り上げられていた分析結果とは異なる結果に至る可能性があると考える。13人ゼミ生がいることが活かせる研究をしてみるのも良い研究が生まれそうである。自分の興味あるものだけでなく、他のゼミ生の発表を受けて、新たな分析材料を見つけることもできたらいいなと考える。
最後に、これから読んでみたい文献を5つ挙げたいと思う。
1つ目は、イギリスの上流階級と労働者階級の関係性をカントリーハウスに住む主人と、主人に仕える使用人の言語表現という視点から分析している、北山環. 「イギリス映画に見るリクエスト表現の一考察--20 世紀初期の'Upstairs''Downstairs' における談話を分析して」 近畿大学語学教育部紀要 7.2 (2007): 39-64.である。
2つ目は、日本語版と英語版の絵本と映画のポスターのデザインの差を言語の差で分析している、尾野治彦, et al. 「『絵本』 と 『映画ポスター』 における 日本語版と英語版の違いについて─『体験的把握』 と 『分析的把握』 の観点から─」 北海道武蔵女子短期大学紀要, 2021, 53: 1-67.である。
3つ目、映画『ブラックパンサー』での舞台である都市「ワカンダ」の国の成り立ちを通して劇中のセリフを分析している、舞さつき. 「ワカンダとコロニアリズムの関係: マーベル映画 『ブラックパンサー』 より」 言語文化共同研究プロジェクト 2018 (2019): 43-50.である。
4つ目、様々な映画のタイトルデザインを歴史から変化を辿って分析している、小林憲夫. 「映画におけるタイトルデザインの変遷」 (2012): 69-85.である。
5つ目、社会の変化と共に変化するディズニープリンセスの性格と劇中の言葉遣いから分析している、平岡緋奈子; 学演習. 「ディズニー プリンセス映画に見る言語的ジェンダ一表現」 論文集/金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編], 2018, 13: 97-111.である。
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