一年間のゼミを終えてby Hiiragi
1.ここまで
秋学期を通して、クラス全員の文献発表を聞き、それぞれ発表している内容が異なっていても、共通したことに疑問を持っていることが多いことを知れた。私は、普段のスポーツニュースを見ていて、男性アスリートの話題ばかりで女性アスリートが取り上げられることが少ないと感じたことから、日本スポーツとジェンダー学会が出版した「データでみるスポーツとジェンダー」という書籍を選んだ。スポーツニュースでジェンダーによって出演量が変わってしまうのは、世界で活躍する女性アスリートの少なさや男性アスリートのプロリーグの人気など様々な原因があった。しかし、筆者は最後の章で、報道する側であるテレビ局のリポーターや新聞記者の男女比について調査した。リポーターの男女比はそこまで差はなかったが、女性スポーツ記者は全体の7%と大きな差があった。さらに、日本の新聞社、通信社、放送局の管理職の女性の割合は1割に満たなかった。筆者は意思決定にかかわる管理職の女性が少ないということは、新聞紙面やテレビ、ラジオの番組作りにおいて、女性の意向が反映されにくい状況を生んでいるのではと述べていた。クラスの他の人の文献発表を聞くと、化粧品広告や翻訳など、興味を持っていることは異なっていた。化粧品広告の比較の文献から、時代の変化による消費者の需要の変化なども触れられていた。また、広告の製作国によって、その化粧品のアピールポイントなど広告の特徴が異なっていた。同じ化粧品でも広告を制作する国が変わるとアピールポイントが変わるのかということに興味を持っていた。日本映画の英語字幕の文献では、日本とアメリカの文化の違いによるセリフの内容の変化や無音の部分にセリフが追加されていた。字幕は翻訳家の価値観や世代、性別による影響はないのか、違う人が翻訳したら字幕は変わるのか興味を持っていた。私が、文献を通じて報道する側に疑問を持ったように、他の人も広告や字幕は製作者や翻訳者に影響されるのではないかと疑問を抱いていた。クラス全員が異なるトピックに興味を持ち、卒業論文を書いていく中で、今回同じようなことに疑問を抱いたように似たようなことを書いていく人が周りにいるかもしれないと感じることができた。四年生になり、卒業論文を書き始めたら、お互いに進捗状況を共有しながら、協力して完成させたいと思った。
メディア×英語×CDSをめぐって、以前はテレビや映画など映像系のメディアに着目していたが、雑誌や新聞などの紙面のメディアに興味を持つようになった。また、報道される側のジェンダーばかりを気にしていたが、報道する側のジェンダーにも興味を持つようになった。その理由は、「データでみるスポーツとジェンダー」の筆者が報道する側に着目していたこともそうだが、クラスの他の人も製作者や翻訳者などする側に興味を持っていたためである。
2.これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、決めつけをしないことである。春学期では、お菓子のパッケージ分析などを通して、同じ言葉でも受け取る側の年代や性別、価値観が違うことで、異なる解釈が生まれそれを共有することで、新たな意見を知ることができ、自分の視野が広がるということを、批判的談話研究を通して学ぶことができた。視野が広がり、一つの話題に対して様々な情報が出てくるようになった。しかし、それらをすべて信用していいわけではない。SNSやYouTubeなど情報を得るためのメディアが多数あるため、自分の興味のある話題を調べると、投稿者によって相反する意見など無数に情報が出てくる。それらの情報をどちらか一方に偏って収集するのではなく、自分が良いと思った意見の反対意見も収集し、決めつけず客観的に情報を見るようにしたい。私は、「データでみるスポーツとジェンダー」の文献発表を通して、報道量がジェンダーによって差が生じてしまうのは報道する側に要因があるのではないかと考えた。しかしこの意見は偏った意見であるため、様々な文献を読み情報を集め、報道量がなぜジェンダーで差が生まれるのかをこれから考えていきたい。また、「データでみるスポーツとジェンダー」の調査結果から、テレビニュースやラジオでの報道量よりスポーツ誌内の記事の方が男女差があった。そのため、スポーツ誌の記事の男女差も調べたいと思った。日本の雑誌だけではなく、英語圏の国のスポーツ誌も調べ、男女差はあるのか、内容はどのような違いがあるのかを調べてみたい。
【参考文献】
① 石井浩一「バンクーバー・オリンピックの新聞報道にみるジェンダー」『愛媛大学教育学部保健体育紀要』第8号, 2012, 53-58.
2010年に開催されたバンクーバー五輪の時の新聞内のスポーツ記事をジェンダー差がないかを分析している。私の興味のある新聞における報道量を知ることができる。
② 小林直美「ロンドンオリンピックにおける選手のジェンダー表象~テレビニュース内容分析~」『山形大学紀要(社会科学)』第48巻第1号別刷, 2017. 7月.
2012年に開催されたロンドン五輪の時のテレビニュースを対象に、女性アスリートのジェンダー表象について内容分析を行っている。報道量だけでなく、番組内で扱われている言葉などを細かく分析していたため、気になった。
③ 高峰修, 忠鉢信一「スポーツのニュース記事におけるジェンダー表象に対する違和感: 読者の性別と年齢層に着目して」『スポーツとジェンダー研究』2023,6-17.
スポーツに関する表象を受け取る側はジェンダー表象についてどう感じているのかを分析している。報道量だけでなく、内容も分析し、その中で使われている表現からなにか要因が見つかるかもしれないと思った。
④ 冨成絢子「五輪サッカー報道にみられるジェンダーとナショナリズムー2012年ロンドン五輪の新聞記事分析―」『ディスコース分析の実践:メディアが作る「現実」を明らかにする』2016, 103-137.
ロンドン五輪のサッカーの新聞記事を分析している。太田先生が紹介してくださった方の論文の中から、私の興味と近いものがあったため気になった。
⑤ 來田享子「日本のスポーツにおける女性の参画の現状」『季刊家計経済研究』no.103, 2014,31-41.
どのようにして女性が国際大会に参入してきたのか、ジェンダー平等するための課題が書かれている。国際大会で活躍する女性アスリートが報道されやすい傾向があったが、その国際大会にいつ、どのように女性が参入したのか知りたいと思った。
3. なんちゃって卒レポ
Title(題名):
「スポーツ専門誌における女性アスリート報道量の日英語比較」
Introduction(問題意識):
テレビのニュース番組のスポーツコーナーで女性アスリートの話題が少ないと感じた。テレビだけでなく、スポーツ専門誌においてもジェンダーでの差があるため明確にする。また、英語圏のスポーツ専門誌も日本と同様に報道量に差があるのか明確にする。
Literature Review (先行研究):
ある一定期間の雑誌を何冊か分析する
Methodology(分析方法):
競技ごとでどのくらい男女差があるのか、日本と英語圏で比較する
Data Analysis(データ分析):
分析したデータと記事に使われている言葉を元に要因を考える
Conclusion(結論):
なぜジェンダー差が生まれていたのか、データ分析から結論付ける。数年前の結果と比較し、変化はあったのかも触れる。
(2096字)
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