新しい自分を更新していくための批判的談話研究 by Yukino
1.ここまで
秋学期のゼミで、初めて知ったことは論文の参考にする際の見方である。後期では自分で一つ論文を選び、皆の前でその論文について発表した。私は、参考にする論文の選び方として論文に書かれている内容は、自分が書きたいと思っているものと必ず類似していたほうが良いと思い込んでいた。しかし、内容だけでなく、文献や書き方、着眼点が良いなど、論文にも色んな見方があると学んだ。今後、卒論を書いていく上で、学んだことを活用し、様々な視点から参考にできる論文を探し、自分が書きたい理想の卒論を明確にして取り組んでいきたい。
次に、ゼミ発表やクラスメイトの子たち発表を振り返って感じたことについてだ。
ゼミ発表では、「自分なりに、見やすく、分かりやすく」を目標にレジュメ作成や台本作りに取り組んだ。私やクラスメイトの子たちの良かった点は「自分なりに」が出来ていたところだと思う。特に、文献に対しての自分なりのコメント・ツッコミが出来ていた。私の発表でも、「女性の立場や求められる女性像」に関心を持っている私なりのコメントが出来ていたと思う。クラスメイトの子たちも、その人なりの着眼点があり、文献へのツッコミが多く書かれていて、「確かに」と、納得する場面が多くあった。ツッコミやコメントがあることで、その人なりの個性が出て、自分の卒論とは違う内容でも聞いていて面白い発表だった。
一方で、反省点として挙げられるのが「分かりやすさ」の部分である。
私の発表では、要約は出来ていたが、その論文で使われている単語の定義を曖昧に捉えたままになっていた。他のクラスメイトの子たちの発表を聞いていると、論文を理解した上で、自分なりに噛み砕いて説明できているかで、発表の分かりやすさが明確に違っていたと思う。そのため、「分かりやすさ」は達成できていないと自分なりに評価をした。
この一年の振り返りとして、メディア×英語×CDSをめぐって、メディアや批判的談話研究に対する捉え方が変化した。私は、このゼミナール以外にも、太田先生の「女性は英語で踊る」「食は英語で踊る」を主題とした英語学演習も履修した。英語学演習での講義を振り返ると、SNSや広告に使用されている言葉のイメージで、無意識にそのイメージに沿って物事や商品を捉えていることが分かった。判的談話研究を学んだ上で、メディアや広告をもう一度見直すと、今までとは違った視点で見ることができ、新しい発見も出来る。今後も、SNSを通して使用される言葉の影響力が強い。だからこそ、メディアの言葉や情報を鵜呑みにするのではなく、批判的に見る視点も重要になっていくと考えた。
2.これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、「私たちの中に、当たり前のように存在している価値観、捉え方を再認識させてくれるもの」であると考えている。私は、普段生活をするの中で、物事や言葉に対して、「どうして?」「なんで?」と疑問を持たず、深くまで読み取ることがなかった。しかし、太田先生の講義では、一つ一つの物事や言葉に対し、そのまま受け身にならずに、批判的に捉えてみることをした。その結果、自分の中にも、固定化された価値観や物事に対する捉え方があることに気付いた。気が付いたことで自分の固定化された価値観や捉えた方を変えていくことができる。そうして、色んな物事に向き合っていくことで、新しい自分として更新しながら生きていくことに繋げられると考えている。私は、社会を生きていく女性として、物事を様々な視点で見ることが出来るようになりたい。そのためには、太田先生の講義で学んだことを活かして、批判的に見ることを意識しつつ、言葉やメディアに向き合っていきたいと考えた。
3. なんちゃって卒レポ
ここでは、この卒レポの形式とは異なる部分も多いが、移行したゼミで実際に取り組んでいる卒論の内容に沿って書いていく。
Title(題名)
ジェイン・エアからみる「理想の女性像」
Introduction(問題意識)
ヴィクトリア朝の女性は、優しくて賢い良き妻という「家庭の天使」の女性像を強いられていた。その中で、作者のシャーロットブロンテはこの作品において「独立して意志を持っている自由な女性」を描いた。この「現実」と「理想」の女性像がどのくらいかけ離れていたのか。
Literature Review (先行研究)
加塩 里美『「ジェイン・エア」にみられるヴィクトリア朝イギリス社会(2)』, 『地域政策科学研究』{9巻}99-120
Methodology(分析方法)
小説に登場する人物、作者の生い立ち、『ジェイン・エア』の作品分析をし、ヴィクトリア朝の女性に関する資料を元に、現実で求められていた女性像」を明らかにする。一方で、理想の女性像は主人公のジェイン・エアのセリフや取り巻く環境から読み取り、明らかにして比較していく。
Data Analysis(データ分析)
使用しない。
Conclusion(結論)
時代背景に対して、「独立して意志を持っている自由な女性」という「理想の女性像」を示したこの作品がヴィクトリア朝の女性や読者にとっても、一つの新しい女性の生き方を提示したものであるとしたい。(2000字)
以下の五つの文献は、これから読んで参考にしたい文献である。
① 加塩 里美『「ジェイン・エア」にみられるヴィクトリア朝イギリス社会(2)』, 『地域政策科学研究』{9巻}99-120
→ジェイン・エアのセリフからヴィクトリア朝イギリスや他の国の女性と対比を読み取り、男性の生き方という観点や当時のイギリスの人々の意識、当時の女性の結婚観を論じている。私が卒論で書きたい内容とかなり近い論文である。
② 浜田美佐子『「少女」 誕生の一つの物語:「ジェイン・エア」』,『東海女子大学紀要』,2000
→主人公であるジェイン・エアを幼い頃から結婚するまでの言動を読み込み、精神的に成長している様子を研究している。理想の女性像として描かれている「ジェイン・エア」を細かく分析しているところが興味を持った。
③ 木村昌子『狂女の虚実とヒロイン―『ジェイン・エア』 のバーサ・メイスンをめぐって』, 『ブロンテ・スタディーズ』, 1996
→ジェイン・エアと恋に落ちるロチェスターの妻、バーサを指しているセリフ、周りの環境から沈黙へと閉じ込められた女性の究極の姿だとしていることを論じている。私は卒論でこのバーサはヴィクトリア朝の女性像を表しているのではないかと考察し、ジェイン・エアと比較していきたい。そのため、バーサに着目して研究しているこの論文は興味深いため、選んだ。
④加茂映子『自己実現のひとつの姿--ジェーン・エアの生き方をめぐって--』,『京都大学医療技術短期大学部紀要』, 1993
→ヴィクトリア時代の女性達中流階級や労働階級の女性達の状況から、当時の女子教育や女性の雇用についてなど社会的背景を分析している。また、イギリス女性としての観点から見たジェイン・エアや、バーサ・メイスンとその一族の分析など登場人物の分析も行っている。この論文は幅広く、様々な観点から作品を研究しており、私が卒論で書きたい内容も取り扱っているため、選んだ。
⑤ ジェイン・セラーズ{訳: 瀬戸美菜子、中野里美 編集: 中繁雅子},『「図説 シャーロットブロンテ」』,ミュージアム図書,2000
→これは論文ではなく、本だが、シャーロットブロンテの生い立ちについて細かく書かれている。私は卒論でシャーロットブロンテも生い立ちも、ジェイン・エアの性格や言動の分析に必要だと考えているため、選んだ。
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