批判的談話研究を通して見えたこと by Saki

1.ここまで

 秋学期のゼミでは、他の人の発表を聴き初めて知ったことや面白いと感じたことがいくつかあった。また、レジュメの作成方法も学ぶことができた。私は、若桑みどりさんが執筆された『お姫様とジェンダー ―アニメで学ぶ男と女のジェンダー』の第一章「女子大でどうジェンダーを教えるのか」についてのレジュメを作成し、発表をした。面白いなと感じたのは、この本は実際に著者が女子大で教鞭をとり講義をベースに書かれていること。そして、実際の学生の考えや意見、講義中の議論が途中途中で引用されているので、自分自身がその中に入り込むことができる。同じ女子大に通っている同年代の女性が考える「ジェンダー」について、今よりも女性に対する認識が20年前は厳しい中での考えなので、とても面白いと感じた。この本をよみ理解し、レジュメを作ったことにより、「ジェンダー」そのものについての知識だけではなく、幅広い年代に知られているディズニープリンセスを通し、刷り込まれた意識・考えやその背景にある家父長制度などの問題に気づくことができたと考えている。まだまだ根強く残っている社会が形成してきた性差を見ることができることを学んだ。

 また、他の人の発表のアニメから見る性差だけではなく、化粧品のグローバル戦略、ジブリ作品からわかる日英の翻訳による表現の違いなどそれぞれ少しずつ異なっていたので、興味深いものがいくつかあった。特にジブリ作品についての発表で日本独特の表現があり、それを英語に訳すことが難しく、「千と千尋の神隠し」の“カオナシ”では“No Face”、「となりのトトロ」では「あ」「ん」のみでコミュニケーションが行われることがあり、翻訳をするときに異なった解釈がされているという部分が面白いと感じた。

2.これから

 現時点で、私にとって批判的談話研究とは、身近なところに存在することである。私が、批判的談話研究というものをこのゼミに入るまで聞いたことがなく、馴染みがなかった。しかし、ゼミに入り1年間メディアや広告を通して批判的談話研究とはどういうものか、そこから社会的差別、抑圧、不平等をいかに減らし、失くして、当たり前だと思っていたことは実は当たり前ではなくおかしいのかが気づいていけるようになったと感じた。

 これから考えたいことは、今の時代でもまだまだ刷り込まれた意識や育ってきた文化として残っているのが現状の問題としてある。日本でも数千年かそれ以上と続いてきた問題は18世紀ごろのイギリスではどのように社会が動いていたのかが気になるところである。18世紀ごろのイギリスは世界的に勢いよく発展を遂げてきた国である。この時代の女性たちは経済的な理由により結婚しなければならない人が多かった。産業革命前のイギリスでは、どのように結婚をしてきたのか、イギリスが発展してきた時代背景となにか繋がりがあるのではないかと考察をしている。ここから、今までジェンダーについて学んできたことを踏まえ、ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』から結婚観について考えていきたいと考えている。

① 菊池せつ子「ジェイン・オースティン 『偏見と高慢』 に関する一考察」『武蔵丘短期大学紀要』第4巻, 1996, p.19-28.

『高慢と偏見』全体の考察で、恋愛や登場人物の性格描写の対比について見ることができる。この論文の「人生喜劇」が恋愛について主として取り上げられているので、ここに着目をして読んでいきたい。

② 角山栄, 川北稔, 村岡健次『世界の歴史10 産業革命と民衆』, 河出書房新社, 1992

この時代の民衆の日常や生き様に焦点が当てられている。この産業革命について見ることにより、これ以前の生活がどのようであったか想像をしやすくなる。

③ 上村和也「ジェイン・オースティンと結婚 ―その‘mercenary’な側面について―」『鹿児島県立短期大学紀要』第23号, 1972, p. 91-100.

オースティンの書く作品は恋愛を主題とされており、実際に体験したことが作品に表れている。オースティンの考えていた結婚観についても見ることができる。

④ 森慶太朗, 「Marriage in Britain (英国の結婚について)」『高松短期大学研究紀要. 文学部』6 , 1976, p.38-40

オースティンの『高慢と偏見』からイギリスの結婚について見ることができる。恋愛、結婚準備期と婚約から結婚するまでの過程をみることによってどのようにしてきたのかがわかる。

⑤ 坂田薫子, 「6つの質問から読み解く『高慢と偏見』」『日本女子大学紀要』72号, 2023, p.1-17.

結婚だけではなく、地位、階級差別など当時のイギリスの特徴についての応答がある。その中にはジェンダーについても見ることができるものもある。

3. なんちゃって卒レポ

Title(題名)

『高慢と偏見』から見る18世紀のイギリスの結婚観 

Introduction(問題意識)

当時の女性は経済的理由による結婚が多かったが、それが当たり前になってしまったことについて、イギリスが発展してきた時代背景となにか繋がりがあるのかを考察していきたい。

Literature Review (先行研究)

 先行研究はたくさんあるので、自分の論文と同じような考えのものを探していく。

Methodology(分析方法)

 この小説が書かれていたのは、産業革命と摂政時代である。この時代の結婚観が必ず反映しているだろうと考えているので、産業革命や摂政時代についても調べていく。

Data Analysis(データ分析)

 原文と和訳文を見て、題名に合うような箇所を探し比較し分析していくことで、それに対する推察をしていく。

例:ダーシー氏がエリザベスの部屋を訪れ、プロポーズをする箇所。

In vain have I struggled. It will not do. My feelings will not be repressed. You must allow me to tell you how ardently I admire and love you. (Jane Austen “Pride and Prejudice Ⅱ”)

わたしは努力しましたが、無益でした。もうだめです。わたしの気持ちは抑えられません。どうか言わせてください、わたしはどんなに熱烈にあなたを崇拝し、あなたを愛しているかしれないのです。(ジェーン・オースティン 富田彬訳『高慢と偏見(上)』 p298.)

 “In vain have I struggled”では強調するためにhaveを主語Iの前に出してダーシー氏がエリザベスに対しての気持ちを本当に抑えることができないということを表わしている。この時代は、男性が女性の上に立つことが当たり前だった。そして、ダーシー氏は人を見下す人間なので、「崇拝」という言葉は彼が思う最上級の言葉であったのだろうと推察できる。

というように分析をいくつか行っていく。

Conclusion(結論)

 まだ、これといった結論は出てきていないが、問題式の中で述べたように18世紀イギリスでは経済的な理由による摂政時代とも関係があるのではないかと考えているので、それについても交え結論付けていく。

(1970字)

team nana

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