人の気持ちを届けるチョコ by Miou
今回、日本で人気のチョコレート菓子「キットカット(KitKat)」について考察する。キットカットは、ネスレが製造しているチョコレート菓子である。レギュラーフレーバーは全7種、オーソドックスなミルクに加えて、大人の甘さシリーズが4種販売されている(ビター、ストロベリー、抹茶、ハイカカオ)。更に、全粒粉シリーズも2種類販売されている。
キットカットのブランドメッセージは“Have a break, have a KitKat”である。ブレイクタイムのお供に、大切な人に応援や感謝の気持ちを伝えるコミュニケーションツールに、という意味が込められている。
キットカットといえば、一際目立つ赤いパッケージが特徴的である。近年キットカットのパッケージは、ブランドメッセージ"Have a break, have a KitKat."に基づき、メッセージが印刷されているものや、消費者側がメッセージを書くためのスペースが設けられているものとなっている。これは、ブランドメッセージに込められた「大切な人に応援や感謝の気持ちを伝えるコミュニケーションツールに」という意味に則ったものであると考えられる。
そこで、まず「メッセージ」という点に着目して考察する。
1990年代後半、九州地区で12~1月に目立って売り上げが伸びるようになった。聞き込み調査によると、「受験生へのお守り」や「縁起担ぎ」として大量に購入されていることがわかった。福岡の方言である「きっと勝っとお」(『きっと勝っているはずだ』という意味)が、商品名の響きと似ているからである。
上記の「受験生を応援する」というコンセプトは「がんばる人を応援する」に進化し、災害被災地の復興支援という側面を持つようになった。その一環として、限定テイストの「寄付金付き企画シリーズ」が発足し、適宜発売されている。2011年、東日本大震災が起き、震災の数日後に「キット、復旧かなう。」というメッセージとともに、段ボールに詰め込まれたキットカットが三陸鉄道に届いたことを知ったネスレ日本が、継続支援の一環として地元との協働で「キット、ずっとプロジェクト」を発足。
このように、ブランド側が自主的に宣伝せずとも、メディアを介して自然と商品が流通した。つまり商品の宣伝が自然と行われているということである。これは、キットカットの「応援する」「気持ちやメッセージを届ける」というコンセプトの効果であるといえる。
また前述の通り、パッケージにメッセージが印刷されていたり、逆に消費者側がメッセージを書けるようなスペースが作られていたりと、発売当初から最近にかけて消費者のニーズに沿った仕様に変化してきている。
最後に、キットカットという商品名について考察する。
キットカットの名前の由来を辿ると、18世紀イギリスまで遡る。
ロンドンのクリストファー・カットが自身の食堂で提供していたミートパイが「キットカット」と呼ばれていた。彼の食堂は、キット・カット・クラブと呼ばれる文化的会合が開かれるなどしており、おそらく「キットカット」という名前は、ロンドンではお馴染みの名前になっていたのだろう。
チョコレート菓子としてのキットカットの名前には「人々のお馴染みのものになるように」という意味が込められているのではないかと考えられる。
(1366字)
≪参考文献≫
市川歩美 “「キットカット」が受験の必須品になった理由” 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/257516
(2023-06-15)
PR TIMES “みんなで東北を応援しよう!1個当たり10円の寄付ができる「キットカット ずんだ風味」5月23日(月)発売”
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000001637.html
(2023-06-15)
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