現時点での批判的談話研究への理解 by Nazuna

1. ここまで

 前期のレポートでは「文化と言語の関わりを捉えるとは?に近づけた」と述べましたが、今学期はそれらの文化と言語のうちどの分野に興味があるのかに迫ることができたと思います。私は、ゼミ活動以外に受けている社会言語学の授業で言語とジェンダーの研究をしたこと、そしてゼミの発表でテレビ番組におけるアイデンティティの確立に関する文献調査をしたことなどから、それらに共通していた「○○らしさ」に注目し始めました。また、タイムリーにもTwitterで韓国アイドルグループのBTSの公式アカウントが投稿した「清純な魅力と圧倒的な男性美」というPRのツイートが批判を集め、削除された問題があり、ここ最近でも潜在的に求められる「男性アイドルらしさ」を考えることがありました。ゼミ活動で習得した批判的談話研究の態度を意識し、日常で感じるモヤモヤを洞察する力が習得できているかもしれないと感じています。

 また、文献調査・発表を行うほか、他の皆の発表を聞いたことから、文献を客観的に読むこと・背景部分まで読み込むことの大切さを感じました。皆が選んだものから私自身が興味を持ったものを含めて多くの文献を読むと、一方的な主観を貫いており配慮に欠ける文章や過度に断定的な主張などが度々ありました。これらを見過ごさず、そのまま受け止めすぎないことに注意する必要があると改めて感じました。また、それは自身が文章を書く時にも同じで、実証的なデータでなければ断定を避け、「かもしれない」という表現を用いるなど、適切な論文製作のための根本的な部分も学べました。(635字)


2. これから

 現時点で、私にとって批判的談話研究とは「過剰な一般化」をしないための学びです。この「過剰な一般化」ということばは、ゼミ以外で履修している社会言語学の授業で習得したもので、文献などを読む際に著者の個人的の主張を素直に受け取りすぎてしまうと、思考に歪みや偏りが出てしまうという問題意識です。私は、この過剰な一般化を避ける方法として、批判的談話研究の学びが活かせると感じています。批判的談話研究は、その一般化がどうして起こったか?談話内の発話が一般化にどう繋がったか?などを事実や定量的な情報から実証的に明らかにできると考えます。人々の一般化=当たり前だと思うことによって生まれるアイデンティティやカテゴライズなどを、否定肯定ではなく、あくまでも批判的立場で探っていくことができるのは、この「過剰な一般化」を避けるために大切なことです。また、私はそれらの一般化のうち、人々の当たり前によって生まれた「○○らしさ」に興味があるため、言語と「らしさ」のかかわりを批判的談話研究の対象にしたいと思います。抽象的ながらも、多用される「らしさ」という表現の本質を批判的談話研究を通して洞察することを来年度の目標としたいです。(485字)


3. なんちゃって卒レポ

Title(題名)

日英バラエティー番組における性と「らしさ」

Introduction(問題意識)

 「自分らしく生きる」などといったように、ポジティブなフレーズとして使われている「らしさ」だが、一方で過剰な一般化につながるのではないか?という問題提起

Literature Review (先行研究)

① 神田靖子・高木佐知子. (2013). ディスコースにおける「らしさ」の表象. 第五章 メディア・ディスコースにおける「ワーキングウーマンらしさ」, p.137~164

→インターアクションを「提案」「確認」「質問」「主張」と機能を分類し、それぞれの機能からそのメディアでの「女性らしさ」の表象にアプローチする方法を参考にできるかもしれない

 

② 古川敏明, & 土屋智子. (2019). 「新婚さん」 の相互行為的産出: バラエティ番組のディスコース分析. 大妻女子大学紀要. 文系= Otsuma Women's University annual report. 大妻女子大学紀要文系委員会 編, (51), 198-175.

→この研究のまとめとして著者は、番組の構成は『夫向けにデザインされたものと、妻向けにデザインされたものがあるといった意味において、番組における活動は「女らしさ」「男らしさ」「新婚らしさ」「夫婦らしさ」といったさまざまな「らしさ」や「ライフステージ」をめぐる常識に支えられ、そうした日常知の体系を再生産している』と言及している。バラエティー番組には日本特有の常識を産出していることを提起したこの研究を踏まえ、では英語圏のバラエティー番組(トーク番組)ではどのような「らしさ」の産出が見られるかを分析し、比較分析することで拡充できるかもしれない

③ 佐竹久仁子. (1998). 「女ことば/男ことば」 規範をめぐって. ことば, (19), 53-68.

④ 中村桃子. (2006). 言語イデオロギーとしての 「女ことば. 明治期 「女学生ことば」 の成立」 日本語ジェンダー学会編・佐々木瑞枝監修 『日本語とジェンダー』, 121-138.

 →『「女ことば」は「女らしさ」のプラス評価の側面とより多く結びつき、「男ことば」は「男らしさ」のマイナス評価の側面とより多く結びついているといえる』と③の著者が言及している

これを発展させ、トーク番組内のやりとりにおける「女ことば/男ことば」から「らしさ」とジェンダーイメージ(視聴者側のジェンダーイメージにどう影響するか?)を分析することもできるかもしれない

⑤ 石田万実. (2016). コント番組における働く女性 職業や描写に関する一考察. 笑い学研究, 23, 46-58.

→番組の「お約束」によって繰り広げられるコントと「女性らしさ」のかかわりを分析している、この研究は登場の仕方や服装、笑いなどを分析とするが、その番組特有の「お約束」が求める「らしさ」を談話から分析すれば批判的談話研究に繋がるだろう

Methodology(分析方法)

 ・英語圏の代表的なトークショー

(The Ellen Show, The Tonight Show など)

 ・日本の代表的なトークショー

(アナザースカイ、新婚さんいらっしゃい、グータンヌーボ など)

 →司会とゲストという構成のテレビ番組であること、毎回の放送が番組の「おきまり」で進行されること

Data Analysis(データ分析)

 ・先行研究①で、談話ストラテジーを「提案」「確認」「質問」「主張」と分類していたのを参考にしつつ、データを分析する過程でさらなる談話ストラテジーが見られたら付け加えるかたちで進めたい

 ・トークショーは基本的に、いくつかのテーマで話題が切り替わる(「恋愛」「仕事」「趣味」など)これは日英で共通する部分であることから、それらのテーマで談話を区切り、テーマごとに求められる・読み取れる「らしさ」を比較分析

Conclusion(結論)

  考察と合っていたこと、異なったこと

  この研究をさらに発展させるにはどのような方法・データがあるか

(参考文献を除き1100字)

team nana

Welcome to Prof. Nana's website! Take a look at how my students and I are studying/partying together at Seisen University!  清泉女子大学・太田奈名子研究室へようこそ。私の学生たちの学びの軌跡をぜひご覧ください。