批判的談話分析との一年間 by Aya

1. ここまで

秋学期のゼミ活動を通して、“当たり前”だと思っているものにこそ面白さがあることを学ぶことができた。そのきっかけは、ゼミの後半にメンバー同士で行った論文紹介である。そこではゼミメンバーが、「日韓テレビ番組の字幕の違い」についてや「日英の映画タイトルの違い」についてなどを発表した。普段、普通に受け入れていたメディアに映し出されている言葉が公開される国や言語によって特徴があることを知り、当たり前に受け入れていた言語が誰かにとっては当たり前ではないことに面白さを覚え、また興味を持った。その当たり前が当たり前ではなくなってからは、非常にメディアに表示されている言語を注視するようになり、なぜその言葉を使うのかについて “理由”を自ら考えるようになった。また秋学期のゼミ活動を通して、言語と心の繋がりについても興味深くなった。このきっかけは、私が調べた論文に関係している。私は「歌詞がもたらす若者のアイデンティティ」についての論文を通して、若者がよく聴く歌の歌詞がどのように若者のアイデンティティを形成しているかについて学んだ。その論文では例えとして、日本のバンド・SUPER BEAVER の 6 枚目のシングルのタイトルは『らしさ/わたく しごと』を研究し、答えとして『この歌を聴く若い人たちは、「本当の僕は何者なんだ」と言うことを自問し、現代社会の中でどのように生きるべきかというような自我アイデンティティの問題について考えさせられている。』という答えを出してた。しかし、私自身この論文を何度も読みまた先生からのアドバイスも頂き、結論として、誰もがその歌を聴いているからといってその歌詞に影響されたアイデンティティを持っているわけではないという自分なりの考えを持ち、その論文に対して批判的にはなった。だが、歌詞という“言語”と音楽という“メディア”と “人”には繋がりがあることは学べた。そのため、この関係についてさらに学びたいと感じた。ここまで、講義で学んだこととなぜ興味を抱いたか理由について述べてきた。批判的談話研究を行った一年間を通して、私はメディアへの価値観が変わったと考えている。メディアからの情報に踊らされず、自分自身の意見を持ちながら情報に触れるようになった。また、いつも見ているバラエティ番組の他言語字幕はどのようになるのか気になり、字幕表示機能を使ったり、Twitter などの SNS で母国語の人が訳している投稿を調べてみたり、メディアに映し出される事柄を様々な角度から見るようになったなと実感した。


2. これから

これまでお菓子のパッケージの分析や歌詞の分析を通して、身近なところに言葉がもたらす影響力が存在していることが分かった。そのため現時点で私にとって批判的談話研究とは、当たり前に受け入れているメディアの中から実は当たり前ではない言語を見つけ、その影響力を考えることである。春学期終了時では、正直なところまだ学べていないことが多く簡潔に言葉で批判的談話研究とは何かを述べられなかったため、未知なるものと表現した。しかし今学期で、前項でも述べた通りメディアで映し出される言葉についての論文に触れ、意外にも日常と批判的談話研究の距離が近いことに気がつくことができた。そのため、これからはその当たり前の中から言語がもたらす面白さを見つけたと考えている。また最近は、女性の心理や日本人の自己肯定感など心理学に近いものにも興味を持った。よって卒業レポートに向けて、“言語”が“メディア”を通して、どのような“心理”効果をもたらしているかを研究し、そこから見える日本の社会現状を見つめたいと考えている。また調査するメディアは、社会の流行をいち早く追う雑誌、または社会事情を映している近年の映画やドラマなどである。しかし、どのメディアにするかは、もう少し自分自身で調べてみてから決めたいと思う。このことを踏まえて、これから読んでみたい文献を選んでみた。

① 中里理子「若者ファッション雑誌に見る男女の文体差」『表現研究』 表現学会,

2010, 92: 15-24.https://hyogen-gakkai-official.org/pdf/92/92_15-24.pdf

この文献は、若者ファッション雑誌に見る男女での文体の差を研究したものだ。調査の仕方や参考資料が、今後の自分の卒業レポートに役に立つと考えている。

② 勝田耕起「20 代女性向けファッション雑誌における言語の特徴: 外来語の場合」

『フェリス女学院大学文学部紀要』2011, 46: 21-

31file:///C:/Users/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E7%B6%BE/Downloads/11000 095.pdf

20 代女性向けファッション雑誌における言語の特徴(外来語)について調査した文献である。また、雑誌からみる日本女性への偏見について学べる文献でもあり、興味をそそられた。

③ 臧薇「日中化粧品広告ディスコースの対照分析: 広告の発話内容を中心

2009.https://catalog.lib.kyushu-

u.ac.jp/opac_download_md/4493112/026_p025.pdf

日中化粧品広告の分析を行った文献である。日頃何気なく使っている化粧品には購買意欲をそそらせる宣伝文句があり、またパッケージから受ける視覚効果がある。それについて分析し社会との繋がりを分析しているのが、自分の興味関心である「言葉の影響力」に近いものがあると考えた。

④ 高畑哲男「化粧品英文広告の形容詞」『作大論集』 2015, 5: 43-

53.file:///C:/Users/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E7%B6%BE/Downloads/SDR 50004%20(1).pdf

この文献では、化粧品英文広告の形容詞の特徴を研究している。調査の結果から、化粧品広告業界では親しみのある形容詞を利用することで、消費者へ安心感を与え、購買意欲を向上させているという結論を出している。この結論へ導く過程が、とても参考になった。

⑤ 向田久美子「子ども向け食品に見る広告メッセージ─ お菓子のパッケージの内容分析─」『放送大学研究年報』2019, 36: 33-

40.file:///C:/Users/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E7%B6%BE/Downloads/36_0 4.pdf

子ども向けお菓子のパッケージを分析し、そのお菓子がもたらすメッセージについて分析した文献である。この文献は、日本語のパッケージだけを取り扱っているが、私はこの文献を参考にして日英で比較をし、健康に対する考え方の違いや、言葉の影響力について研究したいと考えている。

以上の五点が、これから読んでみたい文献である。また、この文献を参考に、卒業論文に取り掛かろうと考えている。


3. なんちゃって卒レポ

Title(題名)

化粧品広告からみる日英の理想女性像の違い

Introduction(問題意識)

先日、大手化粧品メーカーの CANMAKE のキャッチコピーが「女の子って本当に楽しい!キャンメイク東京」から「可愛いに出会える!キャンメイク東京」へと変わった。このようにジェンダーを意識した言葉になったが、やはり日本ではメイクするイコール可愛いという理想像に縛られている。この傾向が日英によって違うのかを研究し、言葉が消費者にもたらす影響力を明確にする。

Literature Review (先行研究)

人気化粧品のキャッチコピーや紹介文・雑誌での記事・CM を調査資料とし、そこで使用された言葉を種類に分け、どのような傾向があるかを調べる

Methodology(分析方法)

人気化粧品に対して使われた言葉を種類別にし、どのタイプが一番使われているのかを日英で比べる。

Data Analysis(データ分析)

人気化粧品の選抜は、Google 検索ランキングで上位のものとする。また調べるデータは、メディアの中でも公式ホームページと雑誌である。

Conclusion(結論)

日本語では「可愛らしさ」を表す言葉が多い一方、英語では「ありのまま」を引き出せる言葉が多いと考えている。

(2016word) 

team nana

Welcome to Prof. Nana's website! Take a look at how my students and I are studying/partying together at Seisen University!  清泉女子大学・太田奈名子研究室へようこそ。私の学生たちの学びの軌跡をぜひご覧ください。