これまでとこれからについてby Subaru

1. ここまで

秋学期のゼミでは、卒業論文に向けて自分の研究したいことを改めて考えそれに関する論文を読み、要約レジュメを作成することでより論文の内容への理解を深める事が出来た。またレジュメをゼミ生と互いに発表しあうことで自分では見つけられなかった関心を持てる論文を探す機会となった。この授業を通して私は、自身の興味深いことを研究する面白さを少し知る事が出来たと思う。前期のファイナルレポートで、このゼミに入った理由の一つとしてアニメや映画など自分の興味ある分野を取り扱うことができる為と挙げた。そこから私はアニメの日本語と英語翻訳の比較を現時点の研究テーマとしている。そして今回この研究を進める為選んだのが「英語版アニメ作品に見る翻訳の問題2:『となりのトトロ』の場合」という論文である。この論文ではとなりのトトロというアニメ映画作品の日本語と翻訳版の相違点の比較を行っており、私の研究テーマと大きく重なる点が多い。その為この論文は今後も自身の卒業論文を書き進める中で軸にしていきたいと考えている。今回本論文を読んで私は、自分が研究を進める際の、映画の映像以外からの情報収集法や着目する点を理解する事が出来た。

前期からのゼミではお菓子パッケージの研究で、見た目から伝わる表面的な情報だけでなく製作者の思惑をくみ取ること、その戦略は実際どのくらいの成果を出せているのかなどを考察する術を学んだ。そして後期では先述した通り自分の研究テーマに沿った先行研究を読むことで自分が卒業論文を書く際の大まかなビジョンを思い描く事が出来た。今後は作品を決め、場面を絞りより明確化させていきたい。

2.これから

現時点で、私にとって批判的談話研究とは、現時点では猜疑心を持つ事だ。物事をただ素直に受け取らず、なにか別の意味を含んでいるのではないか、多数派が信じているようなその固定概念は本当にあっているのか。空気に流されず、確かな情報を得るまでそれを疑うことで新たな答えを導き出すことが批判的談話の目的であると考えている。批判的談話研究というものを直接学んだわけではない為、より明確な批判的談話研究を理解しているとは未だに思っていない。しかしこれまでのゼミの中で、無意識のうちに自身に批判的談話を落とし込めていない可能性も十分にある。その為4年生でも自身の研究を進める中でより理解を深められたらと考えている。そしてその考え方を活かし、研究でも自分の考えや参考にした文献は固定概念に縛られた考察を行っていないかに注意して研究結果にオリジナリティを出していきたい。私の研究はアニメのセリフ変更の内訳を中心とする為、一見批判的談話研究を活かすことが難しく感じられるが、秋学期のレジュメ作成中にセリフの裏側にある翻訳家の考えや、文化の違いにも着目できるとわかった。だから私はそういった箇所で活かしていきたい。

以下はこれから読んでみたい文献を、参考文献としてリストアップしたものである。

参考文献

1.住田哲郎. 「日本マンガの翻訳不可能性に関する一考察.」 Resource, 2021, 11.

「原作をどこまで忠実に伝えることができるか」を課題としていくつかの漫画作品を日本語、韓国語、英語で比較し、また役割後、待遇表現と音韻的類似性に基づくキャラクター、文字の形状がストーリーに関連するケースの4つの観点から、翻訳の不可能性について考察している。

2. 山田昌史, & ヤマダマサシ. 「日英語の 「場」 志向性の違いについて: 日本のアニメのセリフとその英語翻訳を題材として 」(2023).

翻訳の違いから日英語の「場」の志向性の違いについて考察している。意味合いの変化だけでなく、構文の視点からもまた推測をしている。

3.山田奨治, 「マンガ・アニメで日本を研究する.」 日越交流における歴史, 社会, 文化の諸課題 (2015): 133.

日本のカルチャーが海外に伝播した時に起きる変容と日本の反応について研究している。ここでは日本の文化であるアニメが海外に伝播した時のカルチャーショックや時代の間を埋める術について考察している。

4.李修京 & 高橋理美. (2011). 「ディズニー映画のプリンセス物語に関する考察」. 東京学芸大学紀要. 人文社会科学系. I, 62, 87-122.

四つ目は文化の多様性を研究している李修京(2011)である。この論文ではディズニーの複数の映画を通して、作品が生まれた時の社会的背景や、女性像や社会的影響について考察されている。

5.野村涼. 「英語翻訳における< ロボット語> の表現手法」Osaka University Knowledge Archive: OUKA, 35.

RPGゲーム『クロノトリガー』と漫画『ブラックジャック』に出てくるロボットキャラクターを筆頭に、ロボットキャラクターのセリフの表記の仕方、ロボ度の高いキャラクターの翻訳の特徴について研究し、考察している。

3. なんちゃって卒レポ

題名:アニメ翻訳で見る日本とアメリカの比較

問題意識:日本と海外版の直訳されていないセリフの違いの理由とは、なぜあのシーンはカット、変更されてしまったのか。変更せず、ありのままを届ける方法はないのか。

先行研究:山田健太郎「英語版アニメ作品に見る翻訳の問題2:『となりのトトロ』の場合」

山田昌史, & ヤマダマサシ. 「日英語の 「場」 志向性の違いについて: 日本のアニメのセリフとその英語翻訳を題材として 」

分析方法:作品を決め次第、先行研究またはアニメ漫画からピックアップするシーンを絞り比較する。その後は日本人と英語圏の文化、コミュニケーションの違いを当てはめてそのシーンが変更された原因を突き止める。自分なりの翻訳や考えを加える。翻訳家をできるだけ詳しく突き止め、過去に担当した作品があればそれらの翻訳の特徴も捉えてみる。

データ分析:もう少し鮮明に内容が決まり次第、それに必要なアンケート、先行研究されている

翻訳作品をいくつか集め、発売先の国での売り上げ視聴者層等から変更点の数は何か影響をもたらしているかを分析したいが、現地点ではまだ未定の為作品が決まり次第再度考える。

結論:問題意識から研究結果までの要約、それらを踏まえて気になったことや調べたいことなど、次の課題を提示する。

(1800字/参考文献除き)

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