今学期のまとめ by Kurumi

1.はじめに

太田ゼミに入った理由は、メディアへの興味関心があったからである。TVやSNS、映画や音楽など、メディアの影響力は日々拡大し、私たちの生活に常に寄り添っている。そのような私たちにとって身近で、日常的に触れる「メディア」というものを研究対象にすることで、メディアの影響力の大きさや、社会を知ることができるのではないかと考えた。このゼミは、「批判的談話研究」が主な研究分野であるが、それがどのようなものなのか、正直よく分かっていなかった。しかし、批判的談話研究がどう役立つのか、そして、「メディア」を批判的に分析するとはどういうことなのだろうかと興味が湧き、希望した。この授業に対しては難しそう、という漠然とした印象を抱いていた。しかし、実際に授業を受けてみて、お菓子のパッケージやCM、LINE分析の論文など、メディアの中でも、私たちの日常生活に、より身近なものを取り上げながら、分析をしたのでとても楽しく学ぶことができた。

2.ゼミで面白かったこと、初めて知ったこと

お菓子の分析が最も面白かった。私は、ピュレグミを選び、商品名、パッケージ、キャッチコピーを分析し、どのように販売促進に役立っているのかを自分なりに考察した。普段、何気なくスーパーやコンビニで買っているお菓子の商品名や、デザインなどに着目し、企業側の想い、そしてその商品がどう消費者を動かしているのかを考えたことが今までになかったので、とても新鮮で、楽しく談話分析をすることができた。

また、松浦亜弥のプリッツCMの分析も面白かった。授業内で、このCMの良さ、面白い点、そして改善案をペアごとに発表した。各ペアで着眼点がさまざまで、そういう考えもあるのか、と気づかされ、刺激を受けた。私も様々な視点で、ことを考え、自分の意見を持ち、それをうまく人に伝えられるよう努力しようと思った。この分析から、CMの裏側には、企業の戦略意図や商品への想いが込められており、購買促進に繋がっていることを知ることができた。CMから当時の流行や社会状況を読み取ることができる点も興味深いと思った。

私たちにとって、身近なもの、親しみのあるものを分析対象にし、研究することは、とても心をワクワクさせ、興味や関心そそらされるということを前期のゼミを通して知ることができた。また、1つの「言葉」からその分析対象の心情や背景を追求して考察することができるということも併せて学んだ。

他にも、Evernote、ブクログ、文字起こしばりぐっどくんなどの文献管理ツールを知ることができたので、今後、レポートや論文を書く際に上手く活用しようと思う。

3.これから

私にとって批判的談話分析とは、あらゆる角度からその言葉の意味や背景を深く探るものである。お菓子分析で、パッケージに書かれた英語やプリッツのCMから、販売促進のための企業側の意図、メッセージが隠れていることを学んだ。また、金曜3限で開講された、「女性は英語で踊る」の映画Sister Act 2の母と娘のセリフや、相談ラジオの分析から、その人が本当は何を思っているのかを「言葉」というアプローチから、深く考察した。これらの分析から、分析対象にあるメディアの言葉が、何を言いたいのか、何を伝えたいのか、ということを、一つの方向からのアプローチではなく、様々な方向に意識を向けながら、深く追求し、分析するものではないかと考えた。「批判的」というのが理解しきれていない部分があるが、社会に出たときに、物事を批判的に、あらゆる角度から考えなければならない場面が増えてくると思うので、この批判的談話研究が将来的にとても役立つだろうと感じた。また、普段の生活においても、自分の興味、関心あることを批判的に考える力をもつきそうだと思った。

これから考えていきたいことは、ジェンダーに関することである。「女性は英語で踊る」で、渡辺直美のメイク動画や、日米の女性の子育ての比較、ラジオの相談内容を分析したことから、ジェンダーについて関心を持ち始めた。女子大学生の視点から、メディアがもたらす女性の位置づけや影響を談話分析し、研究したいと考えている。私は映画やドラマを見ることが好きなため、今後は日本と他国の女性のセリフの言い回しや、表現の仕方など、言語から見る日本と他国の違いを考えてみたい。また、1年生のときに、初年次スタディーズで、プリンセスにみるジェンダー表現の変容、女性像の変遷ついて学んだことが印象的である。そこから、ディズニープリンセスの映画のセリフに注目して分析し、研究をしてみたい。

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4.参考文献

主にジェンダー関連の文献を読もうと考えている。①の平岡緋奈子(2018)では、ディズニープリンセス映画のセリフから男性、女性のセリフを抽出し、それぞれの時代におけるプリンセスのジェンダー表現の違いを比較している。また、②阿部 修, 澤 緋奈子, 前川 愛歩(2020)は、ジェンダーへの配慮がなされていなかった映画作品を題材に、翻訳という観点から、女性像、女性観の変化を見ている。さらに、代表的なジェンダー炎上広告を対象に取り上げ、言語的特徴を見出し、それに関連する背景的要因や社会状況を研究した③徐舟(2020)の論文と、日本語の言語使用に観察された女性と男性の言葉遣いの違い・特徴を記述し、その原因を解明している④任利(2009)の文献も読もうと思う。ジェンダー関連の文献のほかに、⑤岩崎 真梨子, 前田 梨沙, 川島 大樹の、若者を含め、インターネットを利用する多くの人が用いられている「w」について研究した論文も読む。

① 平岡 緋奈子 「ディズニー プリンセス映画に見る言語的ジェンダ一表現」『金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編]』13, 2018.3, p97-111 〈http://doi.org/10.24517/00050894〉

② 阿部 修, 澤 緋奈子, 前川 愛歩 「時代による女性表現の変化―映画のリメイク作品の字幕比較―」 『金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編]』15, 2020.3, p1-17 〈http://hdl.handle.net/2297/00057371〉

③ 徐舟「日本におけるジェンダー炎上広告に関する 批判的談話分析」国際 ・ 都市社会文化研究 2020:151-154

④ 任利 「「女ことば」は女が使うのかしら? ことばにみる性差の様相」 ひつじ書房, 2009

⑤ 岩崎 真梨子, 前田 梨沙, 川島 大樹 「若者が着目するインターネット上の表現―ネットスラングと方言」『八戸工業大学紀要』36, 2017.3, p41-56 〈http://id.nii.ac.jp/1078/00003611/〉

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