ゼミを通して学んだこと by Hiiragi
1.はじめに
私が太田ゼミに入った理由は、メディアの言葉から批判的談話研究を通して、表面的なメッセージだけでなく、社会問題や本当に伝えたいことについて考えることができるからだ。私は普段、SNSやテレビなどメディアで発信されている言葉を聞き流していることが多く、深く考えたり、調べたりする機会はない。だから、太田ゼミを通して、メディアの言葉を批判的談話分析することで、その言葉がどのような影響を及ぼすのか、社会で起きている問題とどのような関係があるのかを考えることができると考えた。また、今ではSNSなどのメディアを見ない日がないほど、世界中で多くの人が利用している。そういったユーザー数が多く、影響力の大きい、メディアの言葉を分析することで、私たちの周りで起きている問題や、周りの人が思っていることがより身近に感じられると考えた。
2.ゼミで面白かったこと、初めて知ったこと
ゼミで面白かったことは、お菓子の分析をしたことだ。初めに、プリッツのCMを見て、売り手側にはどのような意図があるのかを考えた。お菓子のCMからそこまで考えることがあるのだろうかと思っていたが、たったの15秒~30秒の短いCMから、なぜ相撲のつっぱりを取り入れたのか、衣装にはどのような狙いがあるのかなど多くのことを考えることができた。その後ペアで、CMについて話し合うことで、私とは異なった意見を知ることができた。また全体で意見を発表すると、様々な意見が多く出てきた。15秒~30秒の短いCMでも、人によって視点が異なり、そこから考えることがそれぞれ違っていて、おもしろいなと感じることができた。
プリッツのCMを分析した後、一つお菓子を選び、そのお菓子について分析した。いつもは何気なく「おいしそうだな」や「新商品だから」とお菓子を手に取っていたため、お菓子の商品名やキャッチコピーを細かく分析する機会がなかった。しかし、このゼミでなぜ「おいしそうだな」と思うのか、手に取りたくなるのかなどお菓子分析をすることで、今までとは違う売り手側の視点でお菓子のパッケージや商品名を見ることができた。そのお菓子の歴史やパッケージ全体を調べることで、売り手側の意図を自分なりに見出すことができた。そのお菓子のどこが売りなのか、味を表現するためにどのような表現がされているのか、他社の似た製品と差別化するためにどの点にこだわっているのか、普段消費者目線では考えてこなかった、売り手側の戦略を見ることができた。自分とは違う視点で見ている人の意見を聞くこと、自分で違う視点で見てみようとすることが、とても新鮮で勉強になることが多かった。
3.これから
現時点で、私にとって批判的談話研究とは、視野を広げてくれるものだ。今期のゼミの批判的談話研究を通して、自分とは異なる視点で物事を見ること、調べることのおもしろさを感じることができた。自分だけでは表面的な部分しか見ていなかった物事を、批判的談話研究することで、そのことから伝えたいことや同時期に起きていた社会問題についてなど、裏に隠されていることも考えることができる。お菓子分析では売り手側の視点で考えてみることで、今までの消費者目線では見えていなかった工夫が見つけられるようになった。私は、英語学演習の授業でラジオに送られてきた相談者の悩みを考えた。そこで、相談者が相談したいと送ってきたメッセージから、本当に相談したいことはどういったことなのかを考えた。その時にも、メッセージを送ってきた相談者の立場になって考えるとで、送ってきたメッセージとは違う悩みを見出すことができた。また、ゼミの中でのグループワークやペアワークを通して、一つの議題があったとしたら、その議題について話し合う人数の分だけ、異なった考えが生まれることが分かった。このように、今まで自分のみで考えていた狭い視野が、自分とは異なった意見を聞くこと、また自分とは異なった視点で物事を考えることで、視野が広がり多様な意見を知ることができる。
今後、批判的談話研究を通して、多くの人が表面的な部分のみを見ている映画やテレビなどのメディアを題材に、「女性らしさ」や「男らしさ」などのジェンダーの問題について考えていきたい。私たちが普段、おもしろいなと思っている映画も、異なる視点で見ることで、新たなメッセージ性を見つけることができるかもしれない。これから、様々なメディアを批判的談話研究し、視野を広げ、発信者の意見や本当に伝えたかった事を考えていきたい。また、下記の文献を読み、ジェンダーに関しても、他者の意見を知り、さらに知識を増やせるように努力していきたい。(1863字)
4.参考文献
1、 國澤昌史「ディズニー映画 『リトル・マーメイド』 とジブリ映画 『崖の上のポニョ』におけるジェンダー表象の比較研究」 神奈川大学大学院言語と文化論集 24 (2018): 1-53.
これから読んでみたいのは、「ディズニー映画 『リトル・マーメイド』 とジブリ映画 『崖の上のポニョ』 におけるジェンダー表象の比較研究」である。異なる女性像を描いている、ディズニー映画とジブリ映画を比較している。
2、宮下美砂子「現代日本のライフスタイルとジェンダー:「炎上」 時代の広告から考える」千葉大学人文公共学研究論集= Journal of Studies on Humanities and Public Affairs of Chiba University 40 (2020): 93-111.
これから読んでみたいのは、「現代日本のライフスタイルとジェンダー:「炎上」 時代の広告から考える」である。広告を巡る新しい動きとして、「炎上」が多くみられる。これまで見過ごされてきたことが、即座に異議を訴えられるようになっている。
3、向井隆代, 増田めぐみ, and 山宮裕子「女子におけるダイエット行動とメディアの影響――小・中・高・大学生を対象とした横断的調査より――」青年心理学研究 30.1 (2018): 41-51.
これから読んでみたいのは、「女子におけるダイエット行動とメディアの影響――小・中・高・大学生を対象とした横断的調査より――」である。青年期の女性を中心に、やせが広まっている。痩身を美とする社会文化のなかで、理想体型に関するメディアのメッセージをどの程度重視し、内面化しているのかを取り扱っている。
4、飯田貴子「メディア・スポーツ・ジェンダー-個を尊重するスポーツ・メディアの可能性-」スポーツとジェンダー研究 7 (2009): 36-39.
これから読んでみたいのは、「メディア・スポーツ・ジェンダー-個を尊重するスポーツ・メディアの可能性-」である。近代スポーツと言われる競技的スポーツは、「男らしさ」のイメージに代表されるような「男」というものを構築し、規範化し、男の特権化をはかってきた。個を尊重するスポーツ・メディアの可能性について述べている。
5、岡田桂「ジェンダーを “プレイ” する―スポーツ・身体・セクシュアリティ―」スポーツ社会学研究 18.2 (2010): 5-22.
これから読んでみたいのは、「ジェンダーを “プレイ” する―スポーツ・身体・セクシュアリティ―」である。スポーツがジェンダー/セクシュアリティ研究の対象として浮上してきた1970年代から現代までの約40年間について、研究と理論の変遷を概観し、後半部分では、その理論と対応する現実のスポーツ界での出来事を解説している。
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