身近な事柄と結びつける批判的談話研究 by Yuka

 初めに、私が太田ゼミに入った理由について述べる。私が太田ゼミに入った理由は、批判的談話分析という分野を初めて知り、関心を持ったからだ。また、自分が普段から身近に触れているメディアと関連付けながら学ぶことにも興味が湧いたためである。ゼミという環境で講義を受けることが初めてで、どのように講義が進行されるのか、初めて学ぶ分野にわくわくしながらも正直、不安な部分もあった。しかし、私たちは、言葉を会話や文字、外国語などから日常的に接している。ゼミに入ることで、このような存在の「言葉」の分析ができることに期待していた。

 次に、ゼミで面白かったことや、初めて知ったことについて述べる。これまで自分や他の学生がどのようなことに興味があるのか、研究をしたいのか知る機会がなかったが、ゼミに加わることで知ることができた。共通のテーマについて関心をもつ学生を見つけ、自分とは全く違う視点から見ている学生が居るなど、ゼミの良さはこのようなところだと感じた。

特に印象に残っている講義が二つある。一つ目は、CMの談話分析をしたことだ。日本のお菓子メーカーである江崎グリコが販売するお菓子、「プリッツ」のCMについて分析した。CMは、松浦亜弥が出演し、「ツップリダンス」という三三七拍子に合わせて力士と共に四股を繰り返し踏むのが印象的な構成となっている。私たちはこのCMについて、なぜ松浦亜弥が起用されたのか、三三七拍子のリズムに合わせた理由は何か、CMはどのような人間の視点からつくられたものなのかという分析をする。これが、批判的談話研究の例である。私自身、これまで、CMを何度も見たことがあるが、CMに対して「何故だろう」という疑問を持つことは少なかった。けれども、講義を受けてから実際にCMを見て、CMの伝えたいことは何か、誰を対象にしているのかなど新しい視点で視聴するようになった。これらは、私がゼミに入ってから批判的談話研究について学び始めてからの変化で面白いと感じた。二つ目は、自分の好きなお菓子を対象に談話分析をしたことだ。お菓子のパッケージデザインや、パッケージに書かれた英語や言葉の分析をした。何気なくお菓子のパッケージに使われている英語や言葉が、消費者側や人々にとってどのような影響力をもつのか。お菓子のキャッチコピーから、企業がどのようなことを伝えたいのかについて考える。お菓子の談話分析の講義を受けてから、お店でお菓子の商品棚を見た時に、商品棚の中で目立つお菓子のパッケージデザインの特徴を考えると、分析をしたときに感じたことに納得することができた。

クラスメイトのお菓子分析の発表を聞き、同じ商品の分析をしても異なる視点をそれぞれもっていることから、批判的談話分析は分析する人によって様々な意見が生まれる部分が興味深いと感じた。

ゼミの講義内容に関連している「女性は英語で踊る」という講義では、ラジオの談話分析が印象に残っている。ラジオに寄せられる、リスナーからの相談内容について談話分析を行う。講義では、TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」の「相談は踊る」という相談コーナーに寄せられたリスナーのお便りを分析した。ラジオに寄せられる相談内容は、様々でプライベートな内容のものが多いと感じた。この、プライベートな内容であると感じるのは、ラジオの相談コーナーだからこそだと考えた。リスナーが周囲の人に相談することが難しいと感じても匿名であることや、会話ではないため自分の思い思いの話を伝えることができる。

しかし、ラジオでリスナーが会話をしない場合、顔や表情、声のトーンが分からないという面もある。談話分析をする上で、このような点も分析に深く関わることに気づくことができた。

私は、ラジオの談話分析をする際に、相手がどのような言葉を選択し、繰り返し使用しているのか、また、これらの言葉から何に一番悩み、伝えたいのかという部分に注目した。このことから、談話分析はカウンセリングなどの誰かに相談される場面にも使用し、日常生活と結びつけることができる分野だと感じた。

 最後に、現時点で私にとって批判的談話研究とは、言葉を皮切りに、そして言葉を使用して日常生活と近い存在で分析することができる分野だと考える。講義で学んだ、CMやお菓子、ラジオの談話分析のように身近な事柄から分析を進め、そこにはどのような意図があるのか、そして問題点や改善点があるのかということについて考えていきたい。

字数:1822字

参考文献:岡田みさを. "参加者による発話行動理解への動的過程: 会話分析 (CA) 手法の言語とジェンダー研究への応用." (2005): A55-A78.

・女性が疑問文を多用するという意見に対し、言語とジェンダー研究の観点から談話分析を行うことについての論文

松村瑞子. "日本語のジェンダーと (イン) ポライトネス: ステレオタイプ的見方を再生産していないか." (2018): 55-64.

・男性同士と女性同士の会話からジェンダーとポライトネスの関係性について談話分析をする

朴育美. "批判的談話分析から考察するアメリカの人種をめぐるディスコースの前提." 人権を考える 25: 17-31.

・なぜアメリカ社会で人種問題が提起され続けるのか、差別を助長する談話について分析をする

是永論. "メディア表現の批判と社会批判の実践: ジェンダーの表象をめぐって." 社会学研究科年報 26 (2019): 7-18.

・言語に含まれる性差をメディアから、表現の批判についての分析をする

イングリッド・ピラー 著, 高橋君江 訳 『異文化コミュニケーションを問い直す:ディスコース分析・社会言語学的視点からの考察』, 創元社, 2014,(ISBN 9784422310268)

・言語、文化、国家と関連させた異文化コミュニケーションについての談話分析

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