前期のまとめ by Chinatsu
1. はじめに
授業を受ける前の印象は、『批判的談話研究』というので、難しく捉えられがちで、私もその一人でした。細かい授業の内容が分からなかったのと、新任ということもあり、太田奈名子先生の授業を受けたことがなかったので不安な気持ちがありました。しかし、学びの泉に上がっていた紹介動画を視聴し、「SNSなどのメディア関係について考えられるのが、現代っ子の私たちならではで、面白そう!」という思いがきっかけで入りました。
2. ゼミで面白かったこと、初めて知ったこと
実際、入ってみると想像以上に楽しい授業だし、優しくて楽しい先生だと感じました。授業の内容である、日常に溢れるSNSのやりとりやお菓子のCM、持参したお菓子などを題材に、みんなで分析して討論していくスタイルがとても自分に合っていて楽しかったです。自分から見たひとつの視点だけでなく、クラスメイトの様々な視点から考えさせてくれることで、予想外の意見があったりするなど、とても勉強になりました。太田奈名子先生もまずフレンドリーで優しいし、生徒によって受け答えを合わせてくれるため、自分のペースや自由な考え方で分析できて、とても好きになりました。
授業内容の中では、特にCM分析が面白かったです。分析していくにつれ、日頃、何も考えずに視聴していたCMの裏には、会社側の戦略意図や商品へのたくさんの想いが込められていると分かり、大変、興味深く感じました。前期の授業で取り扱ったCMは松浦亜弥のグリコ・PRETZ(プリッズ)というお菓子のCMでした。今でもYouTubeで視聴できるCM動画の中には、当時、絶大な人気を誇っていた「あやや」こと、松浦亜弥と2人の力士が登場します。3人はシンプルな赤い部屋のセットの中にいて、松浦亜弥が映画の「キル・ビル」や「ブルース・リー」が着ているような黄色いジャージを纏いながら、ひたすら『ツップリツップリツップリ…』と力士と一緒にツッパリをしながら、繰り返すだけなのですが、それが耳に残りやすいし、繰り返すことで「プリッツ」にも「ツッパリ」にも聞こえます。PRETZ(プリッズ)の商品と掛けている力士とこのセリフ、ノリやすいリズムと動き、配色やキャラクター、映像の順番などにも細かい工夫が伝わってきて、すごく考えられたCMだと思いました。これらのようなCMや映像関係は、文面だけで考えるのではなく、目と耳で楽しみながら分析できて、とても良かったです。
3. これから
現時点で私にとって批判的談話研究とは、マスコミのようなものです。というのは、視聴する側が興味の湧きそうな話題を取り上げて、それに対して情報収集をしながら、分かりやすく詳細などを説明する、といった似たような内容だと思ったからです。未だに、批判的談話研究の正確な意味は分かりきれていませんが、日常のメディアについて取り上げた記事に対する批評や意見も雑誌によっては述べていたりするので、マスコミという例えが自分の中で合っていると感じました。
また、私がこれから考えていきたいことは、メディアの変遷について分析することです。新聞からテレビ、雑誌、パソコン、携帯、スマホなどメディアを代表するものがたくさんあります。例えば、今月、Yahoo!ニュースに上げられた記事には、テレビの視聴率は年々下がっており、テレビ離れが急速に進んでいると書かれていました。その理由の一つとして、スマホやパソコンでのYouTube配信やNetflixなど、オンラインビデオやアプリなどの他で代用出来るものが増えてきたことが理由の一つと言われています。急速に「テレビ離れ」が進んでいる一方で、オンラインビデオの配信サービスが活発化されています。世界では既に主流となりつつあるというオンラインビデオの配信サービスですが、日本は世界に比べてどの程度まで「テレビ離れ」が進んでいるのか、気になりました。そこで、あるサイトが世界規模で「オンラインビデオの状況」について、日本、フランス、ドイツ、インド、イタリア、フィリピン、シンガポール、韓国、英国、米国の約5,000人を対象とした調査を実施したのを見たところ、日本ではテレビを「全く見ない」と回答した人が22.2%で世界各国の中で最も多い結果で、週に4時間未満しか見ないと回答した人が全体の6割を占め、日本はやはり、テレビ離れが世界1、進んでいるということが数字に表れた結果となりました。これらを踏まえて、長年に渡り、不動のメディア王だったテレビが現在はその冠を降ろしつつあると感じ、寂しい反面、これまでのメディア変遷がとても気になりました。従って、私はこの話題を調べてみたいと思います。(※ この話題が批判的談話研究に属さないのであれば、変えます…!)
《参考文献》
● 〔王珏奇〕「映画ポスターのキャッチフレーズの日中比較のために ー先行研究の批判的検討ー」
⇒ これまでになされてきたキャッチフレーズの言語学的研究と語用論的研究を取り上げ、批判的に分析し、映画ポスターのキャッチフレーズを異なる言語間で対照するための枠組みを提案する。
〈映画ポスターのキャッチフレーズの日中比較のためにー先行研究の批判的検討ー | CiNii Research〉
● 〔大塚, 生子〕「大阪在住女子高校生の「対立ごっこ」におけるポライ トネス : 「遊び」を伝える文脈化の手がかりを中心に」(2009-03-31)
⇒ 大阪に在住の女子高生の日常会話を対象に、友人同士の対立した意見がお互いの関係を悪化させるどころか、「面白いもの・好ましいもの」という風に対立ごっことなっている。ポライトネスの観点から、この対立ごっこがどのように冗談として解釈されるかを分析する。
〈gbg_018_127.pdf (osaka-u.ac.jp)〉
● 〔徐舟〕「日本におけるジェンダー炎上広告に関する 批判的談話分析」(2020)
⇒ 近年代表的なジェンダー炎上広告を対象に、 その形態に焦点を当てながら言語的特徴を見出し、表出されたディスコースを批判的に観察することで、言語に埋め込まれた広告主のイデオロギーを読 み解くとともに、それに関連する背景的要因や社会状況などについて論考していく。
〈13_徐 舟.pdf〉
● 〔荒井文雄〕「重大災害時におけるメディアの役割」(2012年3月)
⇒ 全国紙4紙が掲載した放射線による健康影響に関する記事を対象に、批判的談話分析の考え方に基づいて、語用論手法を用いて記事を言語学的に精査しつつ、メディアが重大災害時に,国民の主要な情報源としてどのような役割を果たしたか明らかにするとともに、メディアの報道姿勢について批判的に分析する。
〈京都産業大学 学術リポジトリ (nii.ac.jp)〉
● 〔河野礼実〕「テレビに出演する「おネエタレント」の役割・期待・演出と言語行動の関わり」(2018)
⇒ テレビに出演する「おネエタレント」の役割・期待・演出と言語行動を2013年1月~2014年5月に放送されたバラエティ番組16本、それぞれ5~10分の会話録画データを対象に、多様性の中にある話者間の共通点について分析し、メディア上に見られる期待・役割と言語行動との結びつきについて論じる。
〈03 NINGENBUNKA-SOSEIKAGAKU-RONSO-21,p23-32.pdf〉
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