自分の興味と向き合う by Momoka

1.はじめに

私が太田ゼミに入った理由は、太田先生の研究テーマである批判的談話研究に興味を持ったからです。シラバスを閲覧した際に、初めて批判的談話研究という言葉を知りました。どのような研究手法なのか知りたい、談話の研究とはどのような形で進めていくのかということについて、とても興味深いと感じました。

この授業に対して、自分自身の興味をさらに深め、卒業論文として自分の興味を形に残せるようなものであれば良いなという印象を持っていました。興味があると感じたものに対し、なぜ興味があるのか、その興味と向き合い、大切に育て、深く知ることができる授業にしたいと思っていました。

2.ゼミで面白かったこと、初めて知ったこと

私がゼミで面白かったと感じたことは、ゼミ生の考え方がとても豊かなことです。人の数だけ考え方や感じ方が異なることは本当に面白いことだと思っています。お菓子の分析がテーマであったとき、お菓子自体の歴史や成分表示に着目して分析しているゼミ生がいました。自分の考えにはなかった発想から刺激を受け、分析対象へ一つの方向からのアプローチだけでなく、意識を様々な方面に向けて角度を変えて分析できるように努力しようと思うようになりました。

人と会話する際に、私は相手の様子(主に視線、声色、身体の動き)に注目してコミュニケーションをとります。しかし、談話には私が考えていたよりも多くの情報や、話者の心情をくみ取ることができる材料が存在していました。以前、太田先生とお話しする機会があり、その際に、私の話した言葉に対し、いくつかの質問をいただきました。私はその時に初めて、人は話している際に、無意識に様々な情報を言葉とともに発信しているということを知りました。参考例だけでなく、自分で実際に体験したことで、批判的談話研究は面白いなと改めて感じることができました。自分が体験したことで、日常にも様々な批判的談話研究の研究手法が存在していることに普段から意識したいと考えるようになりました。

金曜3限に開講されている「女性は英語で踊る」においても、上記と同様に批判的談話研究に触れることは楽しいと感じました。渡辺直美のVOGUE動画の分析をテーマにした授業では、英語を通じて動画の構成的なアプローチによって、英単語を字幕と異なるものに変え、現代にあった新しいものに変えていくことを行いました。子育てについての談話研究をテーマに取り扱った授業は、とても興味深いものでした。話者の気持ちを言葉から推測し、お互いの意見を聞きあうことで、自分にはなかった発想に驚き、楽しいと感じた授業でした。会話に含まれる情報に対し、様々な角度からアプローチすることで、いくつもの状況や心情が読み取れることはとても面白いと感じました。

3.これから

現時点で、私にとって批判的談話研究とは、当たり前のように存在している問題に対し、分析して新しいものに変え、解決するための方法の一つだと思っています。日常にあふれているメディアが、どのように男女間や、多数派・少数派の権力関係に影響し、印象操作しているのかについて、単語の単位で分析したいです。今まで自分の興味について深く考えたことがあまりなく、ゼミや批判的談話研究を通して自分と向き合うきっかけができたと思います。

(1352字)

これから読んでみたい文献

鈴木亮子, 秦かおり, 横森大輔「ほか」 『話しことばへのアプローチ : 創発的・学際的談話研究への新たなる挑戦』, ひつじ書房, 2017, (ISBN 978-4-89476-818-5)

近年、書きことばに基づく文法記述では説明できない「話しことば」の諸現象に注目が集まっている。本書は、話しことばの言語学を概説する第1部と、その応用編として同じ談話データをアプローチの異なる話しことば研究者が分析するとどのような考察が得られるかという野心的な試みに挑戦した第2部で構成されている。各章に重要キーワードの解説付き。

阿部二郎, 庵功雄, 佐藤琢三,『文法・談話研究と日本語教育の接点』, くろしお出版, 2015, (ISBN 978-4-87424-653-5)

「文法、談話の研究と日本語教育を結びつける」という課題に挑んだ15人の執筆者による最新の研究成果を示した論文集。日本語学・日本語教育双方にとって示唆に富む論が満載。巻末に砂川有里子・白川博之両氏による対談を収録。

三牧陽子, 『ポライトネスの談話分析 : 初対面コミュニケーションの姿としくみ』, くろしお出版, 2013,(ISBN 978-4-87424-592-7)

初対面のとき、人々はどのように話題を選び、会話を遂行しているのだろうか。また、そこにはどのような配慮が働いているのであろうか。二者間の対面会話から、ポライトネス理論を用いて多様な観点で初対面会話を実証的に分析。

大道晴香, 『「イタコ」の誕生:マスメディアと宗教文化』, 弘文堂, 2017,(ISBN 978-4-335-16086-8)

死者を呼び出し、生者へのメッセージを伝える盲目の巫女イタコは、1960年代のブームで一躍全国に知られる存在となった。その半世紀後、現実のイタコが高齢化した一方で、マンガやアニメでは少女イタコがシャーマンとして活躍している。東北の民俗宗教はいかにして新しい宗教文化になり得たのか?フィールドワークと資料の発掘、質問調査から丹念に追跡した貴重な論考。

長谷川貞之「ほか」, 『メディアによる名誉毀損と損害賠償』, 三協法規, 2011,(ISBN 978-4-88260-228-6)

本書は、主にメディアによる名誉毀損に対する損害賠償請求その他、考慮すべき論点を網羅した研究書・実務書である。慰謝料が高額化する現状をふまえたうえで、名誉毀損事例を体系的に整理するとともに、類型ごとに詳しい考察を加えた。また、現在、事例の集積がみられるインターネットもメディアの中に含め、検討を加えている。また、メディアによる自律的救済についても触れ、特色のあるものとなっている。

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